内容
原子配置の織り成す「対称性」は、単に並び方だけでなく、電子状態や原子振動に起因する固体や分子の性質に大きな影響を与えています。
この本では、点群や空間群を通して原子の並び方をもたらす対称性を感覚的に学んだ後、基本的な群の概念と量子力学を復習し、分子軌道法やバンド理論などの応用に少しづつ移るというアプローチを取っています。つまり、材料・固体物理・化学などを学ぶ読者に向けて、「対称性」というテーマで結ばれた、いわばバリアフリーの状況を作り出し、始めのハードルをできるだけ低くしたいという意図なのです。さらに、著者自身が作成した300を越す図面と豊富な表を用いて、とても丁寧な説明がなされています。
本書は、対称性の取り扱いと“使える群論”を身に付けたい方々にとって、大きな助けとなるでしょう。