出版社内容情報
聖徳太子の理想だった律令国家を完成させたのは、藤原の不比等である。不比等は女帝の時代に天皇を象徴的権威者に封じ込め、藤原氏に権力を集中させ、律令制を整え、その後の天皇制の方向づけをしたのだった。
日本を創った聖徳太子の理想は、わが国を律令国家にすることであったが、それを完成させたのは藤原不比等である。推古帝から孝謙帝にいたるまで、八代六人の女帝を輩出したが、この女帝の時代に、不比等は着々と天皇を象徴的権威者に封じ込め、太政官、すなわち藤原氏に権力を集中させるという律令を整えていった。この遠大な不比等の野望を明らかにするとともに、その後の日本の天皇制を方向づけた古代象徴天皇制の本質を考える。
内容説明
藤原不比等の野望の影に生きた女帝たちの愛と哀しみのドラマ。
目次
七‐九世紀の日本
憲法十七条
恒久の宮
藤原不比等
律令を読む
推古天皇と皇極天皇―女帝の登場
持統天皇―神と一体化した女帝
元明天皇と元正天皇―皇統を守った母娘
藤原宮子=「海人の娘」の伝承
道成寺の考古学的調査
美術史からみた道成寺の木彫仏
藤原宮子―史実と伝承
魂を鎮める寺