クリスタ・ヴォルフ選集<br> カッサンドラ

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クリスタ・ヴォルフ選集
カッサンドラ

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  • サイズ B6判/ページ数 259p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784770409232
  • NDC分類 943
  • Cコード C1397

内容説明

アポロン神への愛と引きかえに予言能力を手に入れながら、愛を拒否したため、予言が誰からも信用されないよう罰を与えられた悲劇の王女カッサンドラ…。ギリシア神話の英雄歌謡に描かれたトロイア戦争の物語を解釈しなおし、真実の言葉を主体的に語る女性像を展開した、女性文学の傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

35
誰も信じない未来を紡ぐ不毛な預言者、トロイアの王女カッサンドラ。死を前にした彼女が語る記憶、トロイア戦争は敗者の、女性の見た戦争の歴史なのでしょう。そこではさしもの英雄アキレウスも「けだもの」のよう。このように、物語が女性によって語り直されてれていることの意味を考える時、何度も繰り返されるカッサンドラの「いいえ」や沈黙に、愛する人がひとつの立像(英雄)に変容するのを「体験したくない」という彼女の言葉に、そしてその変容を体験したアンドロマケやオイノネの悲しみに注意を払うことが必要なのではないかと思いました。2017/02/06

viola

8
シュリンク以来の現代ドイツ文学です。やっぱりドイツって全然好みではなくて、好きなのと言ったらゲーテくらい・・・。一人称小説なのですが、ひたすら回想なのもあってどこか突き放した印象を受けます。意識の流れではないのだけれど、その香りがちょっとして。現代の割にはやや読みにくい文体。ギリシャ神話、トロイア戦争の知識は必須です。予知能力のため自分の死が分かっているカサンドラ。カサンドラとアエネアスが恋人という設定になっているところがびっくり。カサンドラ自体がドラマチックなので私も好きなのですが、これはあまり、かな~2012/10/03

きりぱい

7
捕虜となり、自分の死を予見しているトロイアの王女カッサンドラが、瞬きの一瞬かと思う間にトロイア戦争前後を追想する。予言の能力を与えたとされるアポロンさえ出張らず、神々の干渉がほぼない!独白は結構断片的だけれども、妹ポリュクセネを道具のように扱う男どもに抗議したり、運命に抗う、あるいは受け止める気丈な女性として描かれる。男性陣がことごとく地に墜ちた感じで、女性陣が精彩を放つ。映画『トロイ』なんかではブラピが演じていたアキレウスも、ここではけだものアキレウス!英雄形無し。パリスは相変わらずパリスで。2011/01/17

uni

2
最初の数ページにわたる詳細な登場人物の紹介を律儀に読んだ後に、物語の大筋を把握してしまった事実に気付き、もう本文読まなくていっか、と一瞬思ったが(笑)読みました。女性目線のトロイア戦争。ギリシャの神々らの知識がうろ覚え過ぎて、神々らの名前さえ覚えきれず、神々ら、ほんと、よくわからん行動しなさる。さすが神々。カッサンドラの運命やら人生やら自体はとても面白かったです(*´∀`*)2013/07/27

サタニス

1
英雄叙事詩イリアスから中世に恋愛物へと脱線していったトロイア創作設定を全て取り込みながらも、残虐性をもってイリアスの雰囲気を色濃く出している。負けたトロイア側からみた戦争なので終始陰鬱な雰囲気で普通善良で家族仲が良いとされるトロイアの闇と内部崩壊を何もかも体験し終えた王女が語る。はじめは王の娘としての優越感や、登場するあらゆる男を品定めする女としての自意識が気に障るが、アンキセスの登場で不安定な精神に安定が訪れ、最後の方は黄昏の中の景色に浄化される。パントオスとエウメロスという二大嫌味なキャラが印象的。2017/09/01

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