内容説明
「悪いんだけど、死んでくれない?」ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。僕たちの世界は、かくも脆いものなのか!ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。ダイスケは辛さのあまり、教室で吐いた。子供を守れない不甲斐なさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。その闘いは、決して甘くはないけれど。坪田譲治文学賞受賞作。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
329
いじめを主テーマにした短編集。心理描写等が丁寧に描かれ登場人物の感情に共感し辛い。少し重めの印象だがどれも仄かな光明がある。実は我が家の子供たちもいじめを受けていた。特に娘へのいじめはひどく、親は気づけなかった。妻が学校に呼び出され「公園で見つかりました」と渡されたのは想像を絶する暴言が大書されビリビリになった娘の教科書とノート!娘は全て盗まれたまま学校に通ったようだ。当然私は学校に乗り込んだ!翌日からいじめはなくなった。今も娘は私が学校に乗り込んだことを知らない。いじめには親の覚悟も大事だと思う‼️🙇2019/03/30
テンちゃん
280
『死んでくれない?』o(>_<)oクラス全員が敵!子どもを守れない(º ロ º )父の握るナイフ!『いじめ』o(>_<)o心は地獄!『もがき苦しむ心の穴からいつまでも這い上がれない!』(。•́︿•̀。)『誰も助けられない!』『何でもない普通の日々がいかに幸せだったかと思いしらされる!』『追い込まれた人間の心にはやがてナイフができる!』『ナイフを自分に向けるのか相手に向けるのか』『悲しすぎる!』『心のナイフを消し去る環境が欲しい!』『君ならできるかも・・』短編5作品。傑作作品。☆o(>_<)o4.82015/11/30
アサガオ
215
ナイフ!Σ( ̄□ ̄;)「悪いんだけど死んでくれない?」・・・「いじめ◇追い詰められた者は地獄をみる」・・・「いじめ◇追い詰める者は修羅のごとく最後まで相手の喜びを奪う」・・・「いじめ◇傍観者は畜生のごとく強い者に同調しこびり、あるものは知らんぷり」・・・「『言ったら殺す!』◇『言えない地獄!』◇逃げ場はないと知った時◇学級の誰も助けないと知った時」...「死はおのずと訪れる◇『殺るか殺られるか』◇狂喜の世界が後ろから忍び寄る!」・・・「本当に失われた幸せは取り戻せるのか?!!」(;>_<;)2016/07/02
OCEAN8380
199
読んでいて辛かったです。いじめって、いじめる側、いじめられる側どちらが悪いんだろうってすごく考えされた作品でした。普通に考えればいじめる側が悪いと思ってしまう自分。いじめられる側も勇気を出して立ち向かって行けと思う自分。どちらが正しいのか?2015/08/24
再び読書
195
カバーからそんなに明るい話でないのは想像できたが、イジメがテーマとは少し暗くなりました。でも意外と本当の悲劇にならずに結末を迎えるのでほっとします。「死ね」と言われ本当に死ねば、クラスの皆はどんな気持ちになるのだろうか?本当に死ななくてよかった。ワニの登場も良かったし、荒木大輔も懐かしく思えた。「ナイフ」の父親を自分に当てはめると少し滅入る。俺は本当にイジメに対して自分の子供を守ってあげられるのだろうか?考えさせると言う意味では、良い書物とも言える。最後の教師の現実も問題提起となりそう。2012/11/29