人類が永遠に続くのではないとしたら

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人類が永遠に続くのではないとしたら

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  • サイズ B6判/ページ数 418p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103312123
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

私は過去のことを考えるほど、未来のことを考えていただろうか。地球と人類の有限性を引き受けたうえで、なおイエスという哲学とは?

わたしは過去のことを考えるほど、未来のことを考えていただろうか? 3・11による福島原発事故が引き起こしたのは、本質的には誰にも「責任をとりきれない」という新しい事態だ。科学技術の、地球環境の、そして種としての人類の限界が露わになったいま、ポストモダンとエコロジー、双方の思想が見落としてきた「有限性」を足場に、生きることへの肯定をスリリングかつ緻密に語る決定的論考。

内容説明

人類が永遠に続くのではないとしたら、私たちは、どのような生き方を、どのような価値観を、つくりだすべきなのだろうか?原発事故があらわにした近代産業システムの限界。その「有限性」にイエスという新しい思想哲学。

目次

1 さまざまな近代二分論があった
2 有限性の近代を生きる
3 日本から世界へ
4 新しい生態系と技術革新
5 偶発的契機であろうとする意思
6 イエスということ

著者等紹介

加藤典洋[カトウノリヒロ]
1948年、山形県生まれ。文芸評論家。東京大学文学部卒業。著書に『言語表現法講義』(新潮学芸賞)、『敗戦後論』(伊藤整文学賞)、『テクストから遠く離れて』『小説の未来』(桑原武夫学芸賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

30
消費増税10%で約10兆円の増収(15頁)。だからといって、国の借金は来年には1100兆円を越えてくる。桁違いの借金の内実が問われよう。 原発事故を巡り、無₋責任の世界が現出してくるという(17頁)。責任がとれきれない問題。人間の窮極の目的とは、ゆたかさの内実である、幸福、自由、希望(60頁)。これらが金持ちにしか必要条件を与えない世の中では先進国とは言えないのではないか。ガルブレイス、ボードリヤール、ベックなどの主要な論理を回顧しつつ、今後の社会像を想像していく。  2014/08/25

yumiha

24
3.11の後、福島第一原発への保険打ち切りという衝撃的な事実に、どうなるの?どうなるの?と惹きつけられ、近代二分論(ポストモダンとエコロジー)や「リスク社会」などの考察は、興味深く読んだ。「オーバーシュート」「力能」「ビオ・システム」「コンティンジェント」あたりは、あえぎながらも、大規模化高度化の技術革新として何とか理解できた。でも、「ビオス」「ゾーエー」あたりは、なんか違うような気がした。2015/09/11

おおにし

17
「3.11が起きるまでなぜ私は未来ことをそれほど考えずにすんでいたのだろう」という最初の問いは私にも共感できるものがあったが、加藤氏の延々と続く思索の旅についていくのは正直しんどかった。有限性の時代を生きていくために我々自身の欲望とどう向き合っていくのか。その結論に贈与という言葉が突然出てきてちょっと戸惑ったが、この結論は今後自分自身でじっくり考えてみたい。並行して語られる戦後問題の解釈は具体的で理解しやすかった。特に“戦後日本はバビロン捕囚と同じだ"、"戦後憲法はアメリカからの贈与である"が印象的だ。2015/03/08

スパイク

15
いや~、難しかった。正直、よくわかってません。3.11にて人類(日本人)は科学の力では返済しきれない負債を科学技術によってつくり出したことを目の当たりにする。科学の力は技術革新により新しく生まれ変わるという無限の可能性(楽天性)のなかで、限界(有限性)に突き当たった今、私達はどう生きるのか。残された資源を大切にとか、持続可能性を追求しましょうとか、いうことではない回答へのヒントが示される。やってもやらんでもええ自由の獲得。できないことを受け入れ肯定すること。…と、感想も、わけわからんものになってしまった。2014/10/26

koji

12
著者は、3.11原発事故への保険打ち切りから思考を広げ、私たちが生きる環境として有限性を前提に考えなければならない中、どう生きるべきかを問いかけます。著者の結論は、「できないこと」を前にYESと言うこと。それを受け入れ肯定することです。私なりに考えると、多数の日本人の宗教観・思考からは、ポンとたどり着く結論に思えます。しかし裏を返すと、著者の辿った「苦しみの思考回路」が抜け落ちてしまうことが欠点です。本書はそこを緻密に論じた書物であり、この本を1頁目から丹念に読み続けたことで、新たな地平を得ました。2015/01/15

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