カール・クラウスと危機のオーストリア―世紀末・世界大戦・ファシズム

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カール・クラウスと危機のオーストリア―世紀末・世界大戦・ファシズム

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  • サイズ B6判/ページ数 275p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784766423310
  • NDC分類 311.234
  • Cコード C3022

出版社内容情報

孤高の言論人、カール・クラウスの活動を中心に、オーストリア/ウィーンの政治思想・文化的状況を浮き彫りにする一冊。

▼オーストリア/ハプスブルク帝国の危機~ナチスの脅威に向き合い、それを乗り越えようとした孤高の言論人、カール・クラウス(1874-1936)の思想と行動を読み解くとともに、「世紀末」「第一次世界大戦」「ファシズム」という三つの時代における、オーストリア/ウィーンの政治思想・文化的状況を浮き彫りにする。
 
▼第一次大戦時には好戦的なメディアや政治家を、自らの個人評論雑誌『ファッケル』で厳しく批判したクラウス。彼は、戦争やナショナリズムにおいてメディアの果たす役割、戦争の背後にある経済的利害、総力戦であった第一次大戦の従来の戦争との質的差異を、鋭く指摘した。

▼一方で、解体した帝国からオーストリア共和国に再編成されたのち、彼はナチスから独立を守る擁護者としてのオーストリア・ファシズム=ドルフス政権への支持を表明する。彼の真意はどこにあったのか? これまで一見、政治的な解釈が難しいとされてきた彼に、本書はオーストリアの真の独立、「オーストリア理念」を追求する姿勢を見いだす。

▼建築家アドルフ・ロース、精神分析家フロイトや保守思想家ラマシュとの関係なども描かれ、オーストリアの世紀末から第二次大戦前夜までの文化的・思想的状況をも浮き彫りにする、注目の一冊。

<b>序 章 オーストリア思想史とクラウス</b>
   一 カール・クラウスとその時代
   二 二つの文化対立とクラウス思想の一貫性
   三 本書の構成

<b>第1章 世紀転換期ウィーンにおける「装飾」批判とその意味</b>
―― カール・クラウスとアドルフ・ロース
   一 はじめに ―― 唯美主義への批判者たち
   二 アドルフ・ロースの「装飾」批判
   三 カール・クラウスの「装飾」批判
   四 おわりに ―― クラウスとロースを隔てるもの

<b>第2章 フリッツ・ヴィッテルスと「二人の精神的父親」</b>
―― カール・クラウスとジークムント・フロイト
   一 はじめに ―― セクシュアリティをめぐる共闘者
   二 クラウス=フロイト=ヴィッテルス ―― 三者関係の変化
   三 おわりに ―― 三者関係の「その後」

<b>第3章 メディア批判とテクノロマン主義批判</b>
―― カール・クラウスと第一次世界大戦
   一 はじめに ―― 反戦知識人クラウス
   二 二人のクラウス?
   三 カール・クラウスの第一次世界大戦批判
   四 おわりに ―― 近代の「野蛮さ」としての世界大戦

<b>第4章 「オーストリア的中欧」理念と第一次世界大戦</b>
―― カール・クラウスとハインリヒ・ラマシュ
   一 はじめに ―― 保守派の戦争批判
   二 カール・クラウスとハインリヒ・ラマシュ
   三 クラウスのラマシュ論
   四 ハインリヒ・ラマシュとオーストリア保守反戦思想
   五 おわりに ―― パトリオティズムと「オーストリア的中欧」

<b>第5章 ナチズムとオーストロ・ファシズム</b>
―― カール・クラウスと二つのファシズム
   一 はじめに ―― ドルフス支持表明の衝撃
   二 カール・クラウスのナチズム批判
   三 カール・クラウスとオーストロ・ファシズム
   四 おわりに ―― 早過ぎた死

<b>第6章  言語批判としてのクラウス政治思想</b>
―― エリック・フェーゲリンのカール・クラウス論
   一 はじめに ―― 「イデオロギー言語批判」とリアリティの復活
   二 フェーゲリンによるクラウス論
   三 おわりに ―― フェーゲリンによるクラウス論の妥当性
  
<b>終 章 限界と可能性</b> ―― カール・クラウスの現代的意義

あとがき
カール・クラウスとその時代:年表
主要参考文献一覧
索 引
初出一覧・図版出典一覧

【著者紹介】
高橋 義彦
1983年北海道生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻後期博士課程修了。博士(法学)。慶應義塾大学・専修大学・國學院大学栃木短期大学非常勤講師。
主要著作:「エリック・フェーゲリンのウィーン ―― オーストリア第一共和国とデモクラシーの危機」(『政治思想研究』第12号、2012年)、共訳書にリチャード・タック『戦争と平和の権利 ―― 政治思想と国際秩序:グロティウスからカントまで』(風行社、2015年)、ほか。

内容説明

危機の時代を生きた孤高の言論人。第一次大戦時には好戦的なメディアや政治家を自らの個人雑誌で批判し、その後、ナチズムの脅威を予言した男。フロイト、ウィトゲンシュタイン、カネッティらも惹きつけた言論人の思想と彼の生きた激動の時代を読み解く。

目次

序章 オーストリア思想史とクラウス
第1章 世紀転換期ウィーンにおける「装飾」批判とその意味―カール・クラウスとアドルフ・ロース
第2章 フリッツ・ヴィッテルスと「二人の精神的父親」―カール・クラウスとジークムント・フロイト
第3章 メディア批判とテクノロマン主義批判―カール・クラウスと第一次世界大戦
第4章 「オーストリア的中欧」理念と第一次世界大戦―カール・クラウスとハインリヒ・ラマシュ
第5章 ナチズムとオーストロ・ファシズム―カール・クラウスと二つのファシズム
第6章 言語批判としてのクラウス政治思想―エリック・フェーゲリンのカール・クラウス論
終章 限界と可能性―カール・クラウスの現代的意義

著者等紹介

高橋義彦[タカハシヨシヒコ]
1983年北海道生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻後期博士課程修了。博士(法学)。慶應義塾大学・専修大学・國學院大学栃木短期大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Lieu

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著者は政治思想史の専門だが、精神分析のフロイトとクラウス、ヴィッテルスの入り組んだ三者関係を論じた章が、私には面白かった。個人主義者・平和主義者クラウスには、一方で相当に反動的な言説もあった。晩年には、反ナチスとはいえオーストロ・ファシズムを掲げるドルフスを支持し、左派の読者からの信頼を失う。研究対象の思想家のリベラルさやアクチュアリティを強調したい研究者ならば隠しておきたいであろうこうした事実を隠さず、しっかり事情を説明しつつも批判すべき点は批判する姿勢が、研究書として大変素晴らしいと思った。2023/12/02

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