出版社内容情報
苛烈な暴力を許容する社会はいかにして生まれたのか――。議会制民主主義を謳うワイマル共和国。だが、街頭は世論を左右する新たな公共圏として、ナチスや共産党のプロパガンダの場となり、酒場を拠点とした「暴力のサブカルチャー」が形成されていく。実像を初めて描きだした力作。
内容説明
苛烈な暴力を許容する社会はいかにして生まれたのか。議会制民主主義を謳うワイマル共和国。だが、街頭は世論を左右する新たな公共圏として、ナチスや共産党のプロパガンダの場となり、酒場を拠点とした「暴力のサブカルチャー」が形成されていく。実像を初めて描きだした力作。
目次
「政治的暴力の社会史」をめざして
第1部 ワイマル共和国における政治的街頭闘争(ベルリンにおける街頭政治とナチスのプロパガンダ活動;相対的安定期のベルリンにおける政治的暴力;「リヒターフェルデ東駅の衝突」事件;政治的暴力と武器の氾濫;一九三〇年代初頭のベルリンにおける政治的暴力)
第2部 政治的暴力と酒場(第二帝政期における酒場の政治化;一九三〇年代初頭のベルリンにおける政治的酒場;ベルリンにおける政治的暴力と酒場)
ワイマル共和国と政治的暴力
著者等紹介
原田昌博[ハラダマサヒロ]
1970年広島県に生まれる。1999年広島大学大学院文学研究科博士課程後期(西洋史学専攻)修了。現在、鳴門教育大学大学院学校教育研究科教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
19
ワイマル共和国の中・後期における諸党派間の政治的闘争を、「政治的街頭闘争」と「酒場と政治的暴力」の二つの枠組みから描出。暴力の中心は諸党派のパラミリタリー組織。共産党「赤色前線兵士同盟」、ドイツ社会民主党「国旗団」、ナチス「突撃隊」、右翼・保守派の「鉄兜団」や「青年ドイツ騎士団」。各党派が常連酒場をもち、その酒場には政治的街頭闘争の「前線基地」として様々な役割や機能が付随していた。とりわけナチスと共産党はベルリンでの各酒場で激しい暴力の応酬を繰り広げていた。詳細を記述。◇学術研究書としては貴重なテーマ。2022/09/03
minamimi
2
ワイマール共和国の事をほとんど知らずに手に取った本。赤いベルリンから褐色のベルリンへ。共産党の反体制への暴力から、共産党対ナチスの街頭での暴力へ。暴力が街頭に溢れ出し充満していく様。2022/01/27