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内容説明
遺伝子ハンターたちの熾烈な競争で見えてきたもの。1988年、米国カリフォルニアで、小さな線虫の寿命がある遺伝子の欠損で大幅に延びたことが報告された。世界初の寿命遺伝子「エイジ1」発見の瞬間だった。人類の究極の願い「不老長寿」は可能になるのか?各国の叡知による、熾烈な遺伝子獲得競争が始まった。次々に見つかったさまざまな個性をもつ寿命遺伝子は私たちの「残り時間」をどのように変えるのか?スリリングに描きだされる研究の最前線!
目次
老化―ライフヒストリー
寿命―延びゆく命
遺伝―つながるカスケード
疾患―急速に進む老い
悩脳―長寿化を主導する組織
神経―老化ニューロンの守護神
時間―身体にひそむ暦
情報―ストレスと環境適応
受容―長老の教え
修飾―化粧する遺伝子
代謝―代謝の目付け役
進化―見えてきた共通基盤
百寿―ライフスタシス
著者等紹介
森望[モリノゾム]
福岡国際医療福祉大学教授。長崎大学名誉教授。1953年、長崎県生まれ。東京大学薬学部卒業。薬学博士。南カリフォルニア大学老年学研究所助教授、国立長寿医療研究センター部長、長崎大学医学部(第一解剖)教授、長崎大学附属図書館長、日本基礎老化学会理事、日本老年学会理事などを歴任。専門は脳科学、神経老年学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
88
長寿に関する遺伝子は現在30種類発見されている。最初に寿命の研究に使われたのは線虫である。1mm程の大きさで寿命は2週間程度。長寿遺伝子として最初に発見されたAGE-1遺伝子、ダフ2遺伝子も遺伝子産物はIGF1受容体。老化が抑制されるのに、インスリン様成長因子の受容体系を抑えることが酸化ストレスへの耐性を高め、健康長寿へつながる可能性が示唆されている。酵母の寿命遺伝子サー2など次々発見されるが、人間の寿命は遺伝3割・環境7割と言われ遺伝子だけでは測れない。本書にて寿命を制御する遺伝子研究の最前線がわかる。2021/06/04
活字の旅遊人
36
寿命に関しても、延ばす働きの遺伝子と、縮める作用を持つ遺伝子が存在する。その前に、単独の細胞としての寿命か、分裂し続けている間を寿命とするか、という違いもある。そんな話を確認しながら、初学者でもとっつきやすい内容になっていると思った。更科功『残酷な進化論』や『佐々木敏の栄養データはこう読む』あたりと合わせて健康・長寿と死や進化について考える。また、細胞内の「時間」についても考えざるを得ない。遺伝子の働きがテーマなので触れていないが、おそらく各遺伝子をよりミクロに、量子力学的視点にまで立って考えたら面白い。2021/06/30
miso soup
7
タイトルからは少々胡散臭い気配が漂うが、純粋な科学研究ヒストリーである。細かい遺伝子の名前、機能、他遺伝子との関連がほとんど理解できていないので、機会あればまた読みたいと思う。昔、何かの本で「科学の発達で、今の世代は寿命が150歳を超えることになる」と謳っていたような気もするが、本著者は120歳に寿命の壁があるとする。ただ現実には、100歳を越え人間に与えられた寿命を全うするのは難しい。それを達成するためにどうすればよいのか、科学的に正しい知見を得るためにも、今後の研究に期待したい。2022/03/27
Sadahiro Kitagawa
3
寿命と老化に関係する12個の遺伝子が各章で解説されている、 フレンドリーで読みやすそうな表紙だが、いざ読んでみると結構基礎知識が要求されるハードな内容。高校生の時にちゃんと化学を勉強しておけばよかった。 一つ心に残ったのは「研究とは誰もが見ているものを見て、誰も思いつかないでいることを考えぬくことだ。」というある科学者の言葉。これは研究に限らず通用するだろう。 2022/03/30
kamekichi29
2
これまで寿命に関連した遺伝子が12種類見つかっているという。脳や時間に関係するもの、代謝に関するものなど。それぞれが連鎖的な役割を果たしている、とかいったような感じ。 ゆっくり大きく成長すれば寿命も長くなる、ような。2022/02/23