出版社内容情報
宇宙は本当にひとつなのか? 「宇宙が人間にとって都合よくできている」というのは本当なのか? 宇宙論の第一人者が、めくるめく「多重宇宙」の世界へ誘う。
内容説明
宇宙はひとつしかないのか。実は近年、物理学の世界では、宇宙はユニバース(単一の宇宙)ではなくマルチバース(多重宇宙)であると言われている。このマルチバース理論によって、宇宙創成や量子力学などが抱える様々な問題の辻褄が合い、宇宙論は飛躍的な発展を遂げたのである。では果たして、どのような宇宙が存在するのか。また、「宇宙が人間にとって都合よくできている」という人間原理は本当なのか?宇宙の起源に迫る「インフレーション理論」を提唱し、宇宙論研究を国際的にリードする著者が、不思議な多重宇宙の世界を解説する。
目次
第1章 宇宙はどこまでわかったのか
第2章 まだ解明されない宇宙の謎
第3章 人間に都合よくデザインされた宇宙
第4章 インフレーション理論
第5章 マルチバース
第6章 人間原理をどう考えるのか
著者等紹介
佐藤勝彦[サトウカツヒコ]
1945年、香川県生まれ。京都大学理学部物理学科卒業。同大学大学院理学研究科博士課程修了。東京大学大学院理学系教授、ビッグバン宇宙国際研究センター長などを経て、東京大学名誉教授、自然科学研究機構機構長、明星大学客員教授。宇宙創成における「インフレーション理論」提唱者の一人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あむぴの
26
人間原理、とても哲学的であり、そして科学的でもある。ここにこうして、宇宙のことを考える自分がいることをしみじみと考えさせられる。2013年6月、集英社新書。2018/05/08
einstein
26
佐藤勝彦著『宇宙は無数にあるのか』読了。現時点で宇宙について分かったこと、まだ分からないこと、人間に都合の良い宇宙の神秘さなど、内容は豊富。ヒッグス粒子など最先端の宇宙物理学が理解できたのは良かった。私たちの宇宙が人間にとって都合が良すぎるのは、マルチバース(多重宇宙)の中の1つの宇宙が相応しい条件を持っていた結果人間が誕生し、それが人間に「観測」されているからに過ぎないという「人間原理」なる考え方が出てくる。これは支持するかしないかの問題だと感じた。自然科学は結局哲学の問題に集約されるのかもしれない。2015/09/28
yukari
21
「ニュートン」好きの人なら楽しく読めるはず。素人でも分かりやすいです。2014/01/05
ちゃこばあ
20
宇宙の解明が気の遠くなるような観察・計算・思考により導き出されることの凄さに驚きます。物理学は全く分からないけれど、研究者にとって魔物のごとく魅力的なんだろうな・・。もちろん私たちにとっても宇宙の解明は凄く魅かれるものです。ユニバースとマルチバース、科学を突き詰めればこその人間原理とそれは科学ではないとする対立する理論等々、とても複雑でまだまだ永遠に続く未解明の分野であることを分かり易く説明してもらえました。でもここまで予測できること自体が奇蹟だと思います。ホントに凄い!2014/08/19
書斎六尺
17
「もし人間がいなかったら誰も宇宙の存在を知らない筈だ。その場合この宇宙は本当にあるのだろうか」という哲学的な疑問から始まるこの本は、宇宙の起源に迫る「インフレーション理論」の提唱者自らの著書だ。そのインフレーション理論は、所謂「平坦性問題」を解決するばかりでなく、ワームホールで繋がる無数の宇宙の誕生をもたらすと著者は語る。即ちユニバースからマルチバースだ。また宇宙は火の玉によるビッグバンで始まったのではなくその前にインフレーションがあったのだ。「人間原理」に関しては、その歴史と様々な理論を紹介している。2013/06/25