出版社内容情報
大人と子どもの関係とは.子どもは無邪気か.道徳教育とは.家族の崩壊と子どもの現実は.情報化時代に感動する能力とは….子どもをめぐるホットな問題に,「ことば・からだ・心」に深く関わりつづけた3人がせまる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寛生
33
【図書館】砂漠でオアシスを探す遊牧民の如く、何故か手が河合先生の本へ向かう。河合先生の「心理療法」への姿勢と谷川先生の「詩」への姿勢が向き合う。谷川氏の詩集「はだか」から対談が始まり、文字通りの子どものはだか、そして谷川がふと「自分ははたして本当にいきていたいのか」と呟く所に、僕は何かしらの大きく、美しく、そしてヴォルナラブルな声を聴き、震えてしまった。河合と谷川の関係性から放たれるものは、かつて聞いたこともないような音色を醸し出しているかのようで、その感動とともに身が左右に揺すぶられてもいた。2014/04/01
もちもちかめ
23
この巨人の人たちがこうして熱心に話し合っていたこと、20年たっても色あせないし美しく輝いていて、じんとする。違和感なく読めるのは、きっと努力が実ってお三方の意見が浸透してきた証とポジティブにとらえられると思う。しかし、こうした美しい人たちの美しいおなはしって、今はとんと聞かない。いつも誰かが誰かに怒って文句言ってるような‥って、ネットばかり見てるからかな。人間には大人も子どももたくさんの人格があって、場面場面相応しい人格が対応してるとか。2017/10/09
小鈴
17
私の時代にはまだ「子供」を侵食しないような思想を愛する左翼的自然派がいたような気がするがじり貧になったのか、市場の論理が強すぎて負けてしまっているのか分からない。改めて子どもと大人について考えたくて再読。心理学の成長主義は開発主義であり、子どもは開発されるもの、これでは経済学の論理と一緒。忘れられてしまう子供時代は無意識の源泉であり、自分の中に内なるたくさんの子どもを抱えるマルチチャイルド(勝手に命名)論をとるならば、お稽古で占められる時間からどんなインナーチャイルドが生まれるか。2017/02/07
小鈴
7
3人の対談集。河合、谷川、見田の順で見田先生が一番年下のせいなのかキャラなのか河合センセーが一番おしゃべりw。見田「大人というのは、人と人との間をアレンジする、調整するルールのファンクションみたいなもので、生きていくことの喜びとか積極的な意味みたいなものは、本当は子どもからくるのかもしれない。それだけでは他者とぶつかるし、自分の中でもぶつかるから、交通整理する。お互いアレンジするためにルールとか調整するものとして大人があって、それが僕の中にセットアップされたのが僕の大人である。そういうふうに大人は~ほんと2013/12/14
MH
6
子どもは大人のことがわかるのに、かつて子どもだったはずの大人はどうして子どものことがわからないのか? 割と短時間で読めるけど、色々気付きが詰まっている。河合隼雄さんと同様詩は苦手と思っていたけど、谷川俊太郎さんには興味がわいてきた。2015/10/17