出版社内容情報
権勢に近づかず人に知られることを求めずして一生を終えた柴田宵曲.だが残された書はその人柄と博識ぶりを伝え,一度その書に接した者に深い印象を与えずにはおかない.本書は,元禄時代の無名作家の俳句を集め,それに評釈を加えたもの.今も清新な句と生活に密着したわかり易い評釈が相まった滋味あふれる好著. (解説 森 銑三)
内容説明
権勢に近づかず人に知られることを求めずして一生を終えた柴田宵曲(1897‐1966)。だが残された書は人柄と博識ぶりを伝え、一度その書に接したものに深い印象を与えずにはおかない。本書は、元禄時代の無名作家の俳句を集め、評釈を加えたもの。今も清新な句と生活に密着したわかり易い評釈が相まった滋味あふれる好著。
目次
新年
春
夏
秋
冬
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
53
主に元禄期の俳句を読み解いていく一冊。ただ元禄期の俳句でも芭蕉や蕉門下の句ではなく、今は忘れられた俳人の句が中心となっている。紹介されている句紹介されている句、どれも技巧を凝らす事無く素直に読まれている感じがして、読みながら何とも心洗われるみたい。それを紹介する文も心から句を楽しんでいる風で、滋味あふれる文というのか読んでいて心地良いなあ。季語も現代とは違う季節で使われているのも面白いし。七夕とか秋の季語だったんですね。新年に春夏秋冬、読みながらそれぞれの季節の風が吹き込んでくるような、いい本でした。2017/10/09
Foufou
10
序文、のっけから「(古句を)観た結果がつまらなければ観る者の頭がつまらないため」などといわれては反発も必定。芭蕉の息のかかった元禄期の、無名の俳人たちの句を春夏秋冬に分け、一句ごとに解説を施していく。反発も束の間、これは俳句を知る啓蒙書として最適と早々にのめり込む。ただし歳時記の項目を順に読むようなものだから、相応に時間はかかる。漱石、芥川、露伴等同時代人の俳考の言及が随所にあり、わけても子規の慧眼には瞠目。「人やや老いて神を知り、世念失せて詩を思ふ」とは露伴のことばだが、まだまだこの境地には至らず。2019/11/23
うた
8
名著と思う。元禄期の知られていない句を集めて、元旦春夏秋冬に分けて数行から1ページほどの評釈を加えていくというシンプルなものだけれど、評し方が実に多彩で、宵曲のものを見る目の広さが伺い知れる。自然に、しかし単純に陥らない句を高く評価しているようだ。前から気になってはいたけれど、宵曲いいね。2021/08/01
のほほんなかえるさん
5
元禄期の歌詠み人と編者である著者コメントと読者の三人で可笑しな対話ができる本。納得したり、ツッコミ入れたり、たまには論戦してみたり。2012/04/10
Kazuki Eguchi
2
加齢とともに記憶力が衰え、小説を読んでも2行目を読む頃には1行目の内容を忘れる有様なので、俳句を読むようになりました。俳句なら17文字前後なので安心。 うら道の露の深さや猫の腹(夕兆)2013/07/21