出版社内容情報
「人生の内容は夢さながら,我々の短い一生は眠りでけりがつくのです」この名セリフが出てくる『あらし』(テムペスト)は,難破船漂流事件に取材した伝奇劇である.弟に家を追われたプロスペロは三歳の娘と無人島に漂着して十二年,魔法の力を得て弟の船を難破させる.しかし兄弟の憎悪は若い世代の愛と希望で平和に解消する.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
19
「100分de名著 エドガー・アラン・ポー スペシャル『アーサー・ゴードン・ピムの冒険』」で難破する船がエアリエル号というのはシェイクスピア『あらし』に出てくる妖精の名前だった。それと語り手が最初に出てきて物語の決定権を握るというメタフィクション形式もシェイクスピアと同じ。ポーは明らかにシェイクスピアの影響を受けていると思った。劇中劇は、シェイクスピアお得意のものだし、ラストの舞台挨拶の終わり方など『終わりよければすべてよし』とも共通している。もっともこの作品がシェイクスピアの最後の作品と言われていた。2022/03/08
二藍
3
初シェイクスピア。そして戯曲を読むのも初めてだったので、ちょっと新鮮。旧字体だったり、登場人物が誰が誰?ってことになったりと難しい部分もあったけど、一応読了。さらっと読んでしまったので、次読むときはもうすこし時間をかけて味わってみたい。個人的には、精霊エアリエルとプロスペローのやりとりが好きだった。2013/11/10
wm_09
1
復讐劇なのだろうが、一言で言って「気がすんだ」、ちゃんちゃん。という感じ。エアリエルくんが可愛いすぎてもう。精霊萌え。悪党組が活躍しなかったのは残念。(ローウェル嬢)2010/08/01
嫁宮 悠
0
ミラノ公国の太公・プロスペローは、実の弟の裏切りによって失脚、娘と共に孤島に追放されてしまう。魔法使いでもあった彼は十数年後、島の近くを通りかかった裏切り者一行の船を難破させ、島に流れ着いた彼らに、精霊を使役して復讐を果たす、という物語。復讐、というより、懲戒の方が近いかもしれない。悪を懲らしめる様子がコミカルに描かれ、最後は大団円、気分爽快。甲斐甲斐しい精霊たちも愛嬌があって可愛らしい。仮面劇を演じる精霊の台詞が厳かで美しく好きだ、半分は意味わからんけど。2016/07/08
碧
0
復讐劇からの「和解」がテーマかと。 プロスペローの台詞回しが重くて、とても大きな恨みだと思ったけど、 案外簡単に許してしまっているような気がする。 役者が演じているとまたイメージは変わるのかも。 エピローグの行が素敵です。 許しは、人々が神に祈って、神が許す訳ではないけど そこは、ヨーロッパ的解釈ですよね。 2013/04/05