岩波文庫<br> 猟人日記 〈上〉

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岩波文庫
猟人日記 〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 305p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003260814
  • NDC分類 983
  • Cコード C0197

出版社内容情報

粗野ではあるがたくましい生活力をもつホーリ,純粋で詩的な才能に恵まれたカリーヌィチ――この二人の農民を描いた「ホーリとカリーヌィチ」(一八四七)で一躍作家としての力を認められたツルゲーネフ(一八一八‐八三)は,美しいロシアの農村を背景に善良で思いやりのある農民の世界を次々に書き,一八五二年『猟人日記』と題して刊行した.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

56
地主で猟が好きな「私」が狩に出かけた折に出会った人々、光景を素描する連作。彼は、ロシアの百姓の素朴な優しさ、美しさ、抜け目なさだけでなく、昔ながらの主人や領地の管理人に虐げられる農奴たちの姿をも描き出しますが、その苦しみや悲しみを受け入れてゆく人々はどこか誇り高く、荘厳ささえ感じられます。それは、風が草や森の香りを運んでくるような描写と相まって、全体に詩的な牧歌的な雰囲気が漂っているからかもしれません。なかでも夏の星降るような晩の、放牧した馬の番をする少年たちとの一夜を描いた『ベージンの野』がとても好き。2018/06/11

noémi

10
他のツルゲーネフのものと毛並の違う本。鉄砲撃ちの地主が主人公だが、本当の主人公は地主の土地に住む様々な人たち。粗野で無学な百姓たち。地主に仕える抜け目のない召使たち。それぞれに狡猾な人たちなのだが、ツルゲーネフの彼らを見るまなざしは優しい。一番好きだったのは「ベージンの野」。白夜に百姓の子供たちの寝ずの番に相伴した猟人の一夜。うっすらと日を浴びた少年たちはなぜか金色の光のオーラに包まれた天使のように思える。不吉な出来事を前にして「前世の約束事は逃れっこない」予言は的中し、少年は夭折した。神秘的なお話。2012/11/22

あなた

6
日本近代文学の文体の始原。もちろん、ツルゲーネフも近代人なので「田舎」においてロマンの対象を探しに行ったはいいけれどてんやわんや。透明な語り手に徹しているひまもなかったのだ。2009/07/16

てれまこし

4
本当の話でも作り話でも、長い語りものを聞こうなんて人は、日常の生活に飽きている。だから、あっちの世界や見知らぬ土地の話を好んで聞く。だけど、近代人はホントとウソを区別するから、真偽不明の話だけでは満足できない。楽しみながら学べる話はないのか。遠いけれど近接している世界は存在しないのか。で、ふとふり向くとそこにそんな世界がある。無意味な自然に美が、無智蒙昧な民衆に文明人には失われた人間性を見いだせるじゃないか。文明に飽いた文明人を楽しませる真実の物語がゴロゴロ転がってるじゃないか。なぜ気づかなかったかなあ。2018/08/07

kozy758

4
素晴らしい自然描写である。農奴たちの人間くさい生活描写もすぐれている。にやにやしながら読んだ編もある。名短編集と言える。

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