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岩波文庫
巫女

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  • サイズ 文庫判/ページ数 235p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003275726
  • NDC分類 949.83
  • Cコード C0197

出版社内容情報

山の荒家から老いた目でデルフォイを睨む巫女.神を問いただす男に物語る,数奇な身上,神殿の謎,狂気の群衆,息子の正体-ノーベル文学賞作品『バラバ』に次ぐスウェーデンの巨匠の,悪と崇高と愛にささげた傑作小説.

内容説明

山のあばら家から老いた目でデルフォイを見下ろす一人の巫女。苛酷な運命に弄ばれ、さすらいながら神を問いただす男にむかって巫女が物語る数奇な身の上、神殿の謎、狂気の群衆、息子の正体―神とはなにか、人間とはなにか。ノーベル文学賞『バラバ』に次ぐスウェーデン文学の巨匠の、悪と崇高と愛にささげた傑作小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

tomo*tin

22
頭痛がする。題名が気になり軽い気持ちで表紙を捲った私は、すぐさま己の軽率さを呪った。年老いた巫女、白痴の息子、神を否定し呪い呪われた男。巫女は己の過去を語り、世界を語り、神を語る。神とは何か、人間とは何か、存在とは何か。知らなくても生きてゆけるし、知らない方が楽しそうなのに、人はみな「何か」を知りたがる。己の持つ定規でそれらを測りたがる。神はそれを遠巻きに眺め、巫女はその渦中に身を投じ、読者はあらゆる事象を追体験する。そこに蠢く狂気の渦に吐きそうになった。私は巫女にはなれそうもない。2009/06/26

三柴ゆよし

19
神に愛され呪われた老婆の住まうあばら家を訪ねるのは、同じく神の手により終わることのない苦悩を背負わされたひとりの男。短いながら、黒山羊に犯される神憑りの巫女、神の逆鱗に触れる片手の男、狂気の群衆、放逐された巫女が産む白痴の息子、といったわりとすさまじい展開が目白押しで、下手をすれば日野日出志もかくやのドロドロホラーになりそうな物語なのだけど、意外にもそうならないのは、作中人物たちが、というより作者その人が「神とはなにか」との命題を、文字通り血反吐をはくほどの迫真さでもって追及しているからなのだろう。(続)2012/07/29

em

15
デルフォイの元巫女である老婆と、神の子に呪われた男。巫女は神殿を追われ、白痴を産んだ。二人が語っている神は別の神だが、対峙する存在としては似ている。救いや幸福と共に不幸をもたらしうるもの、その存在も不在もおそれなければならないもの。『バラバ』よりも着地点が明らかになっていて、著者の思索の流れを追ってみたいと思ったけれど、他の邦訳がほとんどないよう。「信仰なき信者」と自らを呼んだこの作家の内面世界は、どこか日本の私たちにも親しいもののように思える。2018/03/22

まどの一哉

3
ラーゲルクヴィストは1951年ノーベル文学賞受賞のスウェーデン作家。 話の前半はふとしたことで神の悪意を買った男が歩んだ惨憺たる人生を、丘に住む元巫女の老女に訴える内容。そして大部分を占める後半が、応えとして語られる巫女の苦闘の半生である。 ここに登場する神は手に負えない荒ぶる神で、人間に対して容赦なく破壊的で横暴であり、暴君に魅入られるようなものである。正義や善意を旨としないものに、人間は支配されて生きていかねばならない。あんまりな解釈であるがそのじつ宗教の果たしている現実はそうなのかもしれない。2021/02/18

パン太郎

2
自ら終わらせることはできない、そのことに気づいた時の絶望感。読後に訳者の解説もぜひ。2021/06/13

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