岩波現代文庫<br> 説話の森―中世の天狗からイソップまで

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岩波現代文庫
説話の森―中世の天狗からイソップまで

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  • サイズ 文庫判/ページ数 338,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006020415
  • NDC分類 913.47
  • Cコード C0195

出版社内容情報

神話・伝説・仏教話など伝承の堆積である説話集―戦乱の相次ぐ中世社会は救いの道や処世の知恵を,天狗や龍など異類の跋扈する説話に求めた.『今昔物語集』『宇治拾遺物語』や絵巻の断面から歴史の真相,中世びとの真理に迫る.

内容説明

神話・伝説・童話・仏教話など、伝承の堆積である説話集―相次ぐ戦乱に、生死の苦悩にさらされた中世のひとびとは、救いの道や処世の知恵を説話に求めた。それは天狗や龍の住む異界との接点でもあった。『今昔物語集』『宇治拾遺物語』や絵巻類の断面から説話世界の深層に分け入り、歴史の真相、中世びとの心理に迫る。

目次

1 説話の森(天竺から来た天狗―「大豆の僧正」考;怨霊から愛の亡者へ―位争い伝承の変転)
2 説話の誕生(猿を救った獅子―説法の庭;蝉丸の琵琶―密室の対座 ほか)
3 説話の深層(女盗人二題―京の闇;昇らなかった龍―伝承ともどき ほか)
4 説話の風景(きのこの不思議―説話の本草学;動物たちの声―鳥獣戯画と芸能 ほか)
5 説話の中世(雑談の時代―説話の表現史)

著者等紹介

小峯和明[コミネカズアキ]
1947年、静岡県熱海市生まれ。1977年、早稲田大学大学院博士課程修了。文学博士。日本中世文学専攻。現在、立教大学文学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

水無月十六(ニール・フィレル)

4
今昔物語集からイソップ童話まで、日本で中世から扱われてきた説話文学についてまとめられた本。天狗、怨霊、絵巻、キリシタン文学からはではキノコや鳥獣戯画まで説話にまつわる様々なテーマを扱っている。説話が、仏教の説法から来ているという話や、民衆の「雑談」文化の話、説話が生まれる背景となった歴史的事実など説話を深く読む視座が示されている。説話の森は奥深く、そこに分け入っていくきっかけにできそう。ある程度専門的なので、もともと説話に興味が無いとこの本から入るのは難しいかもしれない。2016/08/06

よしあ

1
説話中のひとつのテーマが、実は他の話に繋がっていき、成立時の状況は?と追求していくのは面白かったです。が、如何せん集中しないと目が滑り、文章をたどれない。後書きにもあるように、史学と文学の方向性の違い、というのもあるようです。 2022/05/16

編集兼発行人

1
中世において人口に膾炙した物語を例とした説話化の構造に関する概説。物語を通じた知の伝授にあたり被伝授者の無知が伝授者の語り掛けを起動した結果として偶然にも記録として後世に残ったことは逆に共有化された教養は暗黙知として声に留まり文字として残らなかった可能性を孕むといった趣旨の指摘に合点。或る話において遣り取りに関する文脈の不在が純粋なテキストとしての原説話を胚胎した後に其れを伝授された数々の語り手による解釈と脚色との累積が説話の萌芽を齎し世間へ枝葉を広げるものと理解。組織における神話の解読にも応用が可能か。2014/01/17

富士さん

0
数年前神保町の古本屋で買って以来そのままになっていた本を読んでみました。それなりに興味深かったんですが、文学系の論文はこんなにざっくりしているんでしょうか?論文というよりはエッセーというべきかもしれませんが、「であろう」で広がっていく論に説得力があまりなく、かと言って何かを生み出すほどの力が筋にあるわけでもない。学者の文章にしては適当で、作家の文章にしてはおもしろくないのです。説話の定義もちゃんと示してありますし、興味があればおもしろいかもしれませんが、ここから説話に入るのは厳しいかなと思いました。2012/12/26

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