内容説明
茂吉秀歌鑑賞の第二弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
49
《夜の底に身ぶるひにけり瞬くま獸(けだもの)の香の直流(ただなが)れたれ》…馬を詠んだこの歌は参考歌として掲載されているが、「直流れたれ」という所にぶるっと来てしまう。私には強烈な歌だった。《ふゆ原に繪をかく男ひとり來て動くけむりをかきはじめたり》など、『赤光』に比べて放心したような詠みぶりが目立つ。それを推し進めると、写生はいつしか、《うれひつつひとり來りし野のはての暗綠林に近づく群鳥》という幻想的な景色に近づくのだろうか。《電車とまるここは靑山三丁目染屋の紺に雪ふり消(け)居り》のスピード感もいい。2014/10/20