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ブラフマンの埋葬

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  • サイズ B6判/ページ数 146p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062123426
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。あたたかくて、せつなくて、いとおしい。こころの奥に届く忘れられない物語。

著者等紹介

小川洋子[オガワヨウコ]
岡山市生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。88年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。91年「妊娠カレンダー」で第一〇四回芥川賞を受賞。2004年『博士の愛した数式』(新潮社)で第五五回読売文学賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

風眠

101
ふわふわで、小さくて、くりっくりで、すばしこくて、いたずらっ子で、賢くて、美しい生きもの。そしてこの物語の中で唯一、「ブラフマン」と名前を与えられている存在。森の中にある「創作者の家」の管理人に保護され、ともに暮らし、森を駆け回り、泉で泳ぎ、管理人の体にぴったりとくっついて眠る。ブラフマンは森に棲む野生動物らしいのだけど、その正体は最後まで謎のままだ。そしてブラフマンの死。どこにも「哀しい」という言葉は書かれていない。だからこそ一層、喪った哀しみが迫る。静かで美しい言葉とともに。夢のような夏の日々の物語。2014/05/18

美登利

88
前からタイトルが気になっていた本で。ブラフマンってなんだろう?と。舞台は日本では無いみたい。石棺ってあまり聞かないもの。読み始めてブラフマンが森に住む生き物であることが分かり、その愛らしさとともにその正体は何?似た生き物はいるけど謎だ。芸術家が集う宿泊施設の管理を任されている僕が飼い主だ。多分、若い青年であろう彼とブラフマンの心の寄せ方に和む一方、不穏な雰囲気が頭から消えないのはやはりタイトルのせいでもあった。哀愁が漂うも静かな余韻のラストシーン。その後の僕はどう変わっていくのだろう。それが気にかかる。2020/03/29

里季

74
長い尻尾に丸い黒い鼻。短い脚にかぎ型に曲がった爪。指の間には水かき。なんだろう、ブラフマン。文章全体の雰囲気は「博士の愛した数式」を思い出させる柔らかく穏やかなものだった。最後はあっけなく死んでしまうブラフマン。埋葬に際して彼を愛した人たちの優しい気持ちが私の心をやさしく包んでくれた。2017/11/27

metoo

60
堪能した。絵画を鑑賞していて足が止まって動けないような作品。骨董市で買った家族写真。写真の中の家族は一人ずつ旅立ってゆく、、とうとう最後には誰一人いなくなる、、あとにはただ無言の写真だけが残される。。。その静けさが、僕に安らかさを与えてくれる。人は愚かしい。花の香りに誘われて大事なものを失う。ブラフマンの最後の声が切なく、感情を抑えた埋葬の手順が一層涙を誘う。2014/07/24

ゆうゆうpanda

50
河合隼雄氏の死で実現されなかった対談のテーマがこの作品だったそうだ。氏の目にはこの物語はどう映ったのだろうか。傷ついた野性動物、イタチ?の子を拾って育てる主人公。<創作者の家>で住込の管理人をしている彼には寂しさがつきまとう。家族の愛情に恵まれなかったのではないかと想像する。自分の恋愛の為に主人公を利用する娘。それと知りつつ拭うことの出来ない暗い欲望を抱く彼。ブラフマンより彼女を優先させたことによる天罰は、純粋な小動物に降り掛かる。穏やかで温かな文章の中に描き出した人間のエゴ。老婦人のレース編みが優しい。2016/07/11

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