内容説明
日露戦争は、日本の近代文学が成立するうえで、大きなターニングポイントになった。「日露戦後」文学とは、どのようにつくり出され、社会に定着していったのか。島崎藤村、国木田独歩、田山花袋、小栗風葉、夏目漱石という、当時を代表する五人の作家に焦点を当て、それぞれの評価の転変を詳細に跡づけながら、近代日本の歴史の中で、文学が文学となった時を考証する、俊秀の鮮烈なデビュー作。
目次
序章 文学の新紀元―日露戦後新文学の勃興
第1章 技術批評を超えて―島崎藤村『破戒』の表層と深層
第2章 “自己表現”の時代―“国木田独歩”を読む“私”
第3章 読むことの規制―田山花袋『蒲団』と作者をめぐる思考の磁場
第4章 文学の“裏切り”―小栗風葉をめぐる・文学をめぐる物語
第5章 軽文学の王・夏目漱石―あるいは明治四十年、文学の自己同一化
終章 文学のための物語―文学概念・文学史
著者等紹介
大東和重[オオヒガシカズシゲ]
1973年、兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。学術博士。専攻は日中比較文学。近畿大学語学教育部講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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