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バシュラール―科学と詩

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  • サイズ B6判/ページ数 321p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062659055
  • NDC分類 108
  • Cコード C0010

内容説明

論争的で反哲学的な科学認識論者にして火や水から湧き出る詩的想像力の発見者。フランス現代思想を先導した―不思議な巨人。

目次

序章 ジャムとベンゼン
第1章 近似的構成と工学の哲学
第2章 激震する物理学に向けて
第3章 化学的世界の整列
第4章 瞬間と非連続性
第5章 知の奇形学
第6章 詩と物質
第7章 元素の詩学
第8章 最後の科学哲学
第9章 残映と終末
第10章 忘却の根拠

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nbhd

16
「私は勉強する。『私』は勉強するという動詞の主語にすぎない」と、死を一年後にひかえた80歳のバシュラールは書いた。あまりにも魅力的な人だ。そして、僕が持っている「読み」をまるっきり転回させられてしまった。副題に「科学と詩」とあるように、本来相容れない科学哲学と詩論の双方を展開したバシュラール…なんだろうなぁ、オカルトでもなんでもないんだけど、人間の中にある宇宙っていうのは凄まじいなぁと、ただただ溜め息をつくばかり。概説書でこれだから、原著読んだら呼吸困難になってしまう気がする。2014/11/25

Shin

9
科学哲学者にして豊穣な詩論をものする不思議な知識人バシュラール。例えば寺田寅彦のように、優れた科学者のまなざしの中に、万物に対する視線の優美さを見出すことはあるが、物質そのものの中に漲るエネルギー、生命力のようなものに内在的に同化して詩性を見出す科学者は稀であると思う。科学も工学も極度に細分化されてやせ細ってしまった現代において、未だ物質と人間の感性とが未分化であった時代のロマンを感じさせるバシュラールの矛盾に満ちた思索の旅。自分が歳を重ねたとき、蝋燭の消えゆくことを感じながら彼の詩論を読んでみたい。2012/07/08

Bevel

6
数学がもつ一般化の能力によって科学は成立している。数学的存在は、超越数の近似計算の歴史などを扱うために、「操作的に客観化される限りにおいて存在するものとみなされる」(反実在論)。物理的存在は、数学的関係として表現される。理論からより一般的な理論を「帰納」することで、理論の包摂を認める。実在のうちにすでに存在する秩序を発見する化学。瞬間と否定に基礎づけられた持続という観点。詩については、性や元型の代わりに、元素を置いて、連想したり説明したりという感じに見えた。2014/12/16

ポカホンタス

4
以前から気にはなっていたけどちゃんと読んでいなかったバシュラール。ちゃんと読むぞと心に決めてまずはこの本。バシュラールの幅広い仕事を丁寧にまとめてくれている。著者の文章にやや癖があってちょっと読みづらい面はあるものの、数学的世界と実体との関係、相対性理論、時間論、知の奇形学、物質的想像力、元素の詩学、現象学への転回などを概観できた。科学者の眼と詩人の眼とが相克するダイナミズムが感じ取れた。2019/02/13

ぽてと

4
バシュラールのもっとも知られた著書は晩年の『空間の詩学』だろうが、著者は現象学的展開は失敗に終わっており、同書はバシュラールの今までの仕事を水泡に帰してしまっており、個々の部分には見るところはあっても、全体的評価としては否定的に捉えているようだ。バシュラールの場合、よく比較されるポパーの思想において科学哲学と社会思想が不可分になっているのとは対照的に、科学、工学と詩学はつかず離れずの距離を保っており、晩年になると完全に断絶してしまっているのが特徴らしい。2016/07/06

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