目次
サド研究
エロティシズム
幻想の画廊から
NUDEのカクテル
補遺 一九六八年(「美神の館」への招待;愛の文学と女流作家のシチュエイション;拳玉考;血まみれの伯爵夫人;『砂の上の植物群』に描かれた性について―吉行淳之介論;足穂頌 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
梟をめぐる読書
9
澁澤龍彦にとって最初の美術エッセー集となった『幻想の画廊から』。まだ一部に「アナーキーな社会の扇動者」としての役割を意識していた澁澤が、ここでは純粋に画家の想像力の世界のうちに遊ぶ姿勢を見せており、その後の彼の〝変貌〟を予感させる。アルチンボルドからベルメールまで、彼の著作によって初めて教わったという人は、今でも多いだろう。新規の読者層に向けて平易に纏められた『サド研究』、〈六〇年代エロス三部作〉の末尾を飾る『エロティシズム』、以後の復刊もなくレアな『NUDEのカクテル』ほか、一九六八年分の補遺を収録。2013/06/22
ikustas
1
こんなにのめり込んで読書をしたのは、初めてかもしれない。 大変興味深かった。2014/04/03
季奈
0
「…人間の魂は、肉体という檻の中から外へ出られない限り、永久に本能の支配を逃れられないものと思っている。」 かつて、筆者が三島由紀夫との雑談で、同様の話題が上がっていたことが思い起こさせられる。 『エロティシズム』では、愛と性愛は等価と説いており、芥川風に言うのであれば、エロスに詩的表現を付加したものが、前者なのだろう。 澁澤は、詩的部分を剥ぎ取ることによって、人間の本性であるエロティシズムを論旨におき、文明という衣服に包まれた、畜生の延長に過ぎない悪魔的人間を暴こうとしたのである。2020/11/15