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漱石のリアル―測量としての文学

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  • サイズ B6判/ページ数 329p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784314009201
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0095

出版社内容情報

鉄道、都市、貨幣、帝国、個人、恋愛、日常性……漱石を「測量装置」として、近代社会のリアリティを測る


漱石を感度の高い「社会測量器」と見たて、その作品を「漱石の手による社会学」として読む試み。気鋭の社会学者が、漱石の小説に寄り添いながらも、鉄道・新聞、東京・家郷、帝国・大陸、自己・他者性、財産・相続、室内・路上、恋愛・結婚、日常性といった社会学的モティーフを大胆に抽出し、近代社会が人々にもたらしたリアリティの変容を浮き彫りにしていく。

東京新聞、中日新聞に書評掲載7/27 「この漱石論が近代文学研究者によって書かれていたなら、僕は激しい嫉妬を禁じ得なかっただろうと思う。それほど漱石をくまなく読み込んだ、近来出色の漱石論なのである。」石原千秋氏(成城大学教授・日本近代文学)
『BRIO』9月号に紹介記事掲載。

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序 章
   1 家郷/東京
   2 リアルの地形学

第1章 動く世界 ― 『三四郎』から
   1 汽車から見た世界
   2 新聞・鉄道・国民
   3 電車の都市
   4 <他者>というトポス
   5 空気を描く小説

第2章 「現実」の変容 ― 『猫』から『三四郎』まで
   1 道義と哲学
   2 小説的リアリティ
   3 遅延とズレ
   4 方法としての写生と低徊
   5 実験装置としての小説

第3章 富と財産 ― 『それから』の世界
   1 贅沢と経済
   2 貨幣と道徳
   3 市場社会の地形と風景
   4 ”それから”の風景 ― 資本と財産

第4章 室内と帝国 ― 『それから』『門』『彼岸過迄』など
   1 室内から路上へ
   2 室内と幻像
   3 西洋/日本
   4 大陸という不安
   5 冒険の時代
   6 日常性の冒険

第5章 不気味さの地勢学 ― 『行人』『こころ』『道草』
   1 時間の風景
   2 不気味なもの
   3 私という<不気味さ>
   4 トポスとしての個人
   5 個人主義の風景、科学技術の地形

第6章 交通と恋愛―『明暗』のトポロジー
   1 交通とポリフォニー
   2 コミュニケーションの世界
   3 女たちの声
   4 恋愛する主体
   5 交通関係としての社会

終 章  日常性の地形と構造

内容説明

鉄道、都市、貨幣、帝国、個人、恋愛、日常性…漱石を「測量装置」として近代社会におけるリアリティの地形をあぶりだす。気鋭の社会学者による新しい漱石読解への誘い。

目次

第1章 動く世界―『三四郎』から
第2章 「現実」の変容―『猫』から『三四郎』まで
第3章 富と財産―『それから』の世界
第4章 室内と帝国―『それから』『門』『彼岸過迄』など
第5章 不気味さの地勢学―『行人』『こころ』『道草』
第6章 交通と恋愛―『明暗』のトポロジー
結章 日常性の地形と構造

著者等紹介

若林幹夫[ワカバヤシミキオ]
1962年生まれ。東京大学教養学部卒業。東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。博士(社会学)。現在、筑波大学社会科学系助教授。専攻は社会学、都市論、メディア論
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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あなた

7
文学は映画と違い線条的(リニア)なテクスチャーであるため私達が読みながらかつトポス(意味空間)をマッピングしていくのは難儀なことである。カフカのようにマッピングの挫折を十八番とする作家もいる。だが漱石テクストは非常にメディアに関して敏感なテクストであり(たとえば列車・手紙・貨幣)、また仕込んだメディアをテクストにおいて有機的にマッピングしたのも漱石である。本書は漱石テクストを政治的・社会学的に地図化するための「地図」である。(コメントに続く2010/07/25

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