感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ココユキ
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在日朝鮮人二世である著者の、生まれた時から少年期の終わりまでを書いた本。最後は太平洋戦争の終戦と重なる。日韓併合頃に日本へ来、貧しく暮らした朝鮮部落の生活が克明に描写されていて、その中で著者自身が何を感じていたか、また周囲の人々がどのような想いだったかの推測が巧みに描かれていて興味が尽きなかった。著者が在日二世であることは本文で重要な要素だけれど、それよりも「人間」に必要な優しさ、戦争の恐ろしさ惨さを強く伝えてくる作品。日本の敗戦後、著者の父親が言ったという言葉は今の日韓・在日の全員が心に刻むべきと思う。2015/01/08