内容説明
近代文学の諸相・近代と反近代・明治大正文学史論・昭和文学史論の四部構成による本格的文学史論十九篇。
目次
1 近代文学の諸相(近代文学の諸相―谷崎潤一郎を視点として)
2 近代と反近代(日本の近代化と文学;反近代の系譜;風狂の反近代;漱石の反近代;詩的近代の成立)
3 明治大正文学史論(文学史の前提;写実主義の展開―自然主義以前;自然主義成立史をめぐっての試論―明治40年代;日露戦争後の文学;白樺派の青春;芥川龍之介の死とその時代)
4 昭和史論(旧世代文学の動向―昭和文学への地平;転形期の評論―プロレタリア文学とその時代;戦後文芸評論の位相―〈政治と文学〉論争をめぐって;私小説の動向―その戦後における展開;〈近代〉の円環が閉じる時)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あかつや
3
近代文学史とそれに関連した論文を集めた本。勉強したのも今は昔、すっかりあやふやになってしまった頭の中の近代文学史をなんとなく整えることができてよかった。近代と対立する反近代ではなく、近代の中に反近代が含まれるという構図はなるほどなあ、確かにそうだ。おかげでこの時代の読みそびれていた面白そうなのをいくつかピックアップできたので、今後の読書の足しにしよう。個別に特に面白かった論を挙げると「詩的近代の成立」かな。斉藤茂吉の位置づけがいい。短歌をやりつくして終わらせた男、やつの後は下降の歴史だ。ヒューかっこいい。2019/11/02