感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
6
中国古典の戯曲を8篇収録。その中から関漢卿による「救風塵」「竇娥冤(とうがえん)」の2篇を味読。状況説明を一から登場人物にさせたり、現代の目から見れば悠長な部分もあるが、起承転結のはっきりとしたわかりやすい話。どちらも観客の胸がすっとするような勧善懲悪ものだけど「竇娥冤」はひどい話だった。タイトルの「冤」の字は冤罪の意味であり、無実の罪をきせられた竇娥といったところだろうか。勧善懲悪の背景には、悪が罰せられない土壌が存在したのだろうし、当時の女性の辛さが思いやられる。今読んでも遜色なく味わえる作品だった。2012/09/26