平凡社ライブラリー<br> 日本八景―八大家執筆

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平凡社ライブラリー
日本八景―八大家執筆

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  • サイズ 文庫判/ページ数 280p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784582765311
  • NDC分類 915.6
  • Cコード C0395

内容説明

昭和二年、大阪毎日新聞社、東京日日新聞社共同企画、鉄道省後援のもとに発表された「日本八景」の選定。大震災からの復興、昭和への改元、金融恐慌と、不安のただなかにあった人々は、この企画に驚喜した。国民投票をもとに、著名文化人により選考、決定され、幸田露伴、田山花袋、北原白秋、高浜虚子ら、当代随一の文士たちが競作する「日本八景」紀行。

目次

華厳滝(幸田露伴)
上高地(吉田絃二郎)
狩勝峠(河東碧梧桐)
室戸岬(田山花袋)
木曽川(北原白秋)
別府温泉(高浜虚子)
雲仙岳(菊池幽芳)
十和田湖(泉鏡花)

著者等紹介

幸田露伴[コウダロハン]
1867‐1947年(慶応3‐昭和22)。作家。幕臣を父として東京下谷で生まれ、漢学を修める。明治20年、電信技手の官職を捨てて文学の道に入り、翌年に発表した『風流仏』で文壇に登場した。『五重塔』など、東洋的な観念を主題とした作品を発表し、尾崎紅葉と並び「紅露時代」を築いた

吉田絃二郎[ヨシダゲンジロウ]
1886‐1956年(明治19‐昭和31)。作家、随筆家。佐賀県生まれ。大正3年に発表した小説『磯ごよみ』で好評を得た。その後も、「早稲田文学」「ホトトギス」に創作や感想を発表し、大正6年の『島の秋』を出世作として多作をきわめ、クリスチャンとしての宗教的、思索的、人道主義的な作風で、青年子女に広く受け入れられた

河東碧梧桐[カワヒガシヘキゴトウ]
1873‐1937年(明治6‐昭和12)。俳人。愛媛県松山市生まれ。正岡子規に師事し、子規の俳句革新運動に参加して頭角をあらわす。明治30年に創刊された句誌「ほとゝぎす」に参加。子規の没後、同郷の高浜虚子と作風をめぐって対立し、写実派、現世派、進歩派、技巧派的態度を明らかにした。明治39年より44年にかけて、新傾向俳句の宣伝のために二度の全国行脚を行った

田山花袋[タヤマカタイ]
1871‐1930年(明治4‐昭和5)。作家、詩人。群馬県生まれ。父は館林藩士。一時、京橋南伝馬町の書店有隣堂の丁稚となった。江見水蔭門下に入り博文館に入社したが、しだいに硯友社系の作風からはなれた

北原白秋[キタハラハクシュウ]
1885‐1942年(明治18‐昭和17)。詩人、歌人。福岡県柳川市生まれ。新詩社に拠り、詩・短歌を発表。木下杢太郎、吉井勇、森田恒友、山本鼎らと結成した“パンの会”および創刊に参加した「スバル」は、耽美派文学の拠点となった。歌誌「多磨」を主宰したほか、童謡・民謡にも筆をふるった

高浜虚子[タカハマキョシ]
1874‐1959年(明治7‐昭和34)。俳人。愛媛県松山市生まれ。友人河東碧梧を介して正岡子規に師事する。明治31年、子規のすすめで句誌“ほととぎす”を引き継ぎ、短歌、散文を加えた俳句文芸誌とし、松山から東京へと移して主宰する。子規没後、河東碧梧が推し進める新傾向に対し、伝統的な俳句を志向し、「客観写生」「花鳥諷詠」を提唱した

菊池幽芳[キクチユウホウ]
1870‐1947年(明治3‐昭和22)。作家、新聞記者。茨城県水戸生まれ。明治24年、大阪毎日新聞の記者となる。明治25年、翻案小説「光子の秘密」で新聞小説家として登場し、明治32~33年、203回におよんだ連載小説「己が罪」は、新聞小説の新生面を開いたとして好評を博した。大阪毎日新聞では、社会部長を経て編集副主幹、取締役、相談役となった

泉鏡花[イズミキョウカ]
1873‐1939年(明治5‐昭和14年)。作家。金沢市生まれ。北陸英和学校に学ぶ。作家を志して上京。尾崎紅葉に師事し制作活動を始め、「高野聖」などで人気作家となった。のち自然主義文学の興隆をうけて文壇的には不遇となったが、一部の読者から強力な支持を受けつづけた
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感想・レビュー

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おすとりっち

2
昭和初頭の二大新聞社による、投票によって八景を決めようという企画で、当時文壇で活躍していた八名に依頼した各八景の紀行文をまとめた本。こうして1冊にまとまった状態で読んでみると、各作家の個性が出ていて面白い。中でも白秋の紀行文は、「波、波、波、波、波…(略)」「蝉、蝉、蝉」「秋、秋、秋、秋」「霧、霧、霧」など、繰り返す単語による強調がたびたび見られ、詩人らしさを感じる。他にも、作家によっては俳句や短歌を詠んだりしていて面白い。当時とはだいぶ風景も変わってしまっているだろうが、この八景に行ってみたくなった。2021/05/01

yamakujira

1
新聞社が公募で選定した「日本八景」を、それぞれに文豪が紹介する紀行文集。幸田露伴、田山花袋、北原白秋、高浜虚子、泉鏡花など、そうそうたる顔ぶれに新聞社の意気込みを感じる。日本八景の選定って、当時はすごく盛り上がったらしいな。「海岸」「湖沼」「山岳」「河川」「渓谷」「瀑布」「温泉」「平原」のカテゴリーでそれぞれ投票数1位を選んだそうだけれど、雲仙岳とか木曽川とか狩勝峠とか、現在では選ばれなさそうな所がかえっておもしろい。 (★★★★☆)

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