内容説明
アジア・太平洋地域の侵略から敗戦にいたる考古学は、「空白の時期」ととらえられてきた。本書は「植民地・肇国の考古学」の実態を追及し、激動の時代に生きた考古学者の群像をダイナミックに描いた考古学の歴史である。
目次
御上と民間の考古学
「大東亜共栄圏」の考古学
肇国の考古学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
これは考古学ではなく、「日本考古学史」の本。自由に学問も出来ない日本が戦時体制に入っていく、昭和前半から戦中にかけての日本考古学界の「黒歴史」を検証しようという試みらしい。帝大など官営サイドでは、植民地となった台湾や朝鮮、そして満洲へと外地での調査を盛んにしていたのに対し、在野の考古学者達は各地で地域の遺跡発掘をしていたという。そして、国策に乗って日本民族の古代の栄光を伝える「神代考古学」を国民に啓蒙する動きもあり、召集された考古学者が中国で先史時代の土器を発掘して大きなニュースになったりすることもあった2011/12/21
takao
2
ふむ2024/04/16
Mentyu
1
昭和前期、太平洋戦争下の考古学史を扱った本。日本がアジアに勢力を広げていく一方で、考古学も純粋な学術的一面を持ちながらも、統治の道具のような形で外地に進出してしまう。国内では紀元二千六百年の風潮のもと、皇国史観に沿った聖蹟を対象とした考古学研究が展開されていく。2013/02/08