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著者等紹介
川端康成[カワバタヤスナリ]
明治32年、大阪市に生れる。孤児の境涯で少年期を送る間、すでに中学生で小説家を志望した天成の才は「十六歳の日記」があるのに窺われるとおりで、第一高等学校を経て東京帝大に入学後の大正10年「新思潮」に掲げた「招魂祭一景」で新進として認められる。同13年「文芸時代」の創刊に参加、同誌を拠点とした新感覚派の文学運動の一翼を担い、同15年、同誌に発表の「伊豆の踊子」が出世作となると、以降の執筆活動にまた旺盛なものを示すうち、やがて昭和10年から書き始められた「雪国」は、作家としての評価を揺るぎないものとした。戦後も「千羽鶴」「山の音」「眠れる美女」「片腕」等、王朝の繊細な美意識を基底に、官能の匂いと、その悲哀の情を漂わせつつ、虚無にも通うような霊妙な感覚を作品に造型し、昭和36年に文化勲章を受章、同43年には日本人として初のノーベル文学賞を授けられる栄誉に輝いたが、同47年、突然に自ら命を絶つ
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mm
24
新学社という出版社を良く知らなかった。小中学の教材・ポピーを出してるところでした。ここが、新学社近代浪漫派文庫という全42冊を刊行しております。このセレクトが渋くてカッコいい。これも文学史とかその他あれこれの本読んでなければ感じなかっんだろうけど、今の私が見ればナイス押しまくり!な感じ。このシリーズの32巻が川端康成。内容「伊豆の踊子」「抒情歌」「禽獣」「末期の眼」「再会」「水月」「眠れる美女」「片腕」「美しい日本の私」です。ねっ。ねっ。3回目読んだ伊豆の踊子。映画化されるが道理の初恋と青春のエッセンス。2018/09/13
クリイロエビチャ
1
「眠れる美女」は、裸体の女性を目の前にしながら執筆したのかなと思うくらい。女性の体をデッサンしているような描写、そこに臭いや体温の表現が入るので、臨場感が半端ない。想像のしようもなく場面がクッキリと頭に浮かぶ。知らなかったけど、描写力が凄い作家だったんだな。 とても美しい文章だけれど、なんというか硬質で冴えた雰囲気。同じ美文でも泉鏡花のフワフワした筆致とは全然違う。個人的な好みは「抒情歌」。女が自分を捨てた男へひたすら独り語り。その男はもう死んでいるから恨み節という風でもないが、ただ凄みが感じられる。2013/06/28
矢田絵美里
1
★★★★☆ 『眠れる美女』や『片腕』はあまり好きではなかったです。『眠れる美女』は生々しかったかもしれないです。しかし、川端の文章は綺麗です。『伊豆の踊子』や『抒情歌』は良かったと思います。『抒情歌』の中に「私は失つた恋人よりも失つた愛の心を悲しみました。」という文章があります。この言葉は好きです。2009/05/24
Y.Yokota
0
芥川の遺稿から題をとった随筆「末期の眼」が収録されています。芥川の事だけでなく、川端自身の小説に関して見ても興味深い文章です。そしてここに収録されている作品群は、いずれも直接・間接的に死を予感させる内容ですが、「伊豆の踊子」については別の方向性だと言えると思います。これを読んで涙する理由は何でしょうか。「抒情歌」の中にある"失った愛の心”と無関係ではないような気がします。2017/07/28
じろー
0
図書館から借りて期日があるので読みたかった伊豆の踊子と眠れる美女だけ急ぎ読了。気が急いていたためか、あるいは期待値か高すぎたか、のめり込むほど熱量が上がらなかった。一方で不思議な世界観を感じることもあったので、落ち着いて他のやつもあわせて読みたい。 恩田陸の本に出てくる多聞という登場人物が眠れる美女を「イメクラの祖(意訳)」と言っていたが何となく分かるような気がした2019/06/02