内容説明
怨霊・悪霊そして鬼や天狗など、異形のものが跋巵する時こそ社会は乱れ秩序は危機に瀕する。錯乱するコスモロジーの蘇生をはかるために、悪霊祓いの儀礼はいかに催されるのか。モノ憑き・怨霊譚の深奥に分け入り、日本人固有の精神構造を解明する画期的視座。異人と妖怪の民俗学。
目次
1 異人の歴史学(異人殺し伝説の生成―民俗社会の歴史創造;異人殺し伝説の歴史と意味―歴史社会の民俗創造)
2 支配の始源学(村はちぶをめぐるフォークロア―排除の民俗の事例として;支配者と御霊信仰―天皇制との関係をめぐって;天皇制以前あるいは支配者の原像―民俗における「天皇」問題)
3 妖怪の伝承学(雨風吹きしほり、雷鳴りはためき…―妖怪出現の音;鬼の太鼓―雷神・竜神・翁のイメージから探る;鬼を打つ―節分の鬼をめぐって;江戸の稲荷と狐―江戸市民のトリックスター)
4 悪霊の人類学(悪霊憑きから悪霊物語へ―憑霊信仰の一側面;悪霊秡いの儀礼、悪霊の物語―憑霊信仰の一断面)