内容説明
抜群の語学力と広い視野を持っていた有島武郎は、欧米の文化、文学を幅広く摂取した類い稀な作家であり、思想家でもある。外国の文学、芸術をしばしば自己の創作に生かした才能も見逃せない。本書では、有島が傾倒していたホイットマンをはじめ、トルストイ、カーライル、ベルグソン等との思想的接点を探りながら、比較文学、比較文化の視点から有島の作品像を浮き彫りにする。
目次
有島武郎と西洋―イプセンにも触れて
有島武郎とホイットマン
有島武郎の訳詩集『草の葉』について
『或る女』考―有島のトルストイ受容に寄せて
有島武郎とカーライル・試論―とくに『衣服哲学』の受容をめぐって
有島武郎とベルグソン
有島武郎とミレー―評論「ミレー礼讃」の成立について
有島武郎とマーク・トウェイン
有島作品におけるホーソーン的側面―構造と視点とテーマからの考察