出版社内容情報
「裏切り者」ユダも、イエスの十字架によって救われたのではないか。四つの正典福音書から「ユダの福音書」まで、ユダ像の変容を追い、最大の負の造型の側から原始教会の思想的・政治的ダイナミックスを照らしだす。
内容説明
イエス物語最大の負の造型に、私たちは何を読み取るべきなのだろうか。最初の福音書記者マルコと古伝承とは、復活のイエスに再会するユダを前提にしていた、すなわちこの「裏切り者」、もっとも穢れた者も救いにあずかることを想定していたのではないか。この仮説の根拠を求めて、四福音書から『ユダの福音書』まで、ユダ像の変容を追う。イエスの十字架によっても救われざる者とは、いったい誰か。私たちの内に棲む「裏切り」を一身に担わされた像の成立には、原始キリスト教のどのような思想的・政治的ダイナミックスが隠されているのだろうか。
目次
ユダの共観表
1 原始キリスト教とユダ(イスカリオテのユダ―名称の由来とその意味;イエスとの再会―マルコ福音書のユダ;銀貨三十枚の値打ち―マタイ福音書のユダ;裏切りと神の計画―ルカ文書のユダ;盗人にして悪魔―ヨハネ福音書のユダ)
2 使徒教父文書・新約聖書外典と『ユダの福音書』のユダ(正統と異端の境―使徒教父文書と新約聖書外典のユダ;十三番目のダイモーン―『ユダの福音書』読解)
3 ユダとは誰か(歴史の中のユダ)
ユダの図像学
著者等紹介
荒井献[アライササグ]
1930年生まれ。専攻、新約聖書学、東京大学・恵泉女学園大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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