出版社内容情報
現代のコミュニケーションにおいて、なぜ「共感」に焦点を当てる必要があるのか。そもそも「共感とは何か」をこれまでの研究史をたどりながら定義し、その生起メカニズムを考える。とくに感情の伝染、共感の意識性、共感の身体反応、内受容感覚、共感の発達と病理などについて、心理・脳・身体という三つの側面から幅広く検討する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
22
コミュニケーション:人々の共存と情報の共有のための根本的なはたらきとみなす新しい捉え方(ⅴ頁)。共感:共感情、他者の感情状態に対する同期的反応(4頁)。クールな認知的共感と、ホットな情動的共感。sympathy は共鳴現象的、 empathyは感情 移入的(6頁~)。コーエンは自閉症を極端な男性脳とした(20頁)。共感の共有は非言語的コミュで形成(22頁)。統合失調症: 幻覚・妄想状態を呈し、まとまりのない言動が特徴で、背後に著しい社会機能水準の低下がある(133頁)。 2015/04/06
テツ
14
どんなに屁理屈を並び立てようが、この世界に存在する大抵の社会、大抵のコミュニティで他者への共感やそこから生まれるコミュニケーション能力は必要とされる。何かしらの精神的な疾患でもない限り共感する力ってどんな人間であろうが後天的に学習できるんだよな。勿論その力には負の側面もあるのだけれど、だからといって避けて通るわけにはいかない。共感する力って現代社会においてある種の礼儀作法ですらあるんだよな。どんな物事であれまずその仕組みを知ること。知らないことは学べない。身につけることはできない。2023/12/14
Takatymo
0
共感とは何か、理解が深まる。本文が165pとコンパクトにまとまっている。 一見、学者がよむ専門書にみえるけど、著者陣のかたり口はかるく、一般の人でも読める。 共感とは何かをかたるには様々な切り口がある。共感の様々な分類、脳領域や発達や進化の観点、各障害の分析からみる共感について、集団における共感の働きについてなど。共感は、共感力があるないみたく1次元的にかたれない複雑なものである。 共感はときには暴力を生み、誰から見たかで良くも悪くもなる。けれども、人間の協働・共生を支える重要なものであるのは確かである。2020/06/02
takosushop
0
非常に面白い。シャーデンフロイデやサイコパスなど他の本の中で興味を持ったキーワードをこの本で体系的に知ることができた。 またメディアによる共感に関するリサーチなども面白かった。 見た目とっつきにくく、内容もとっつきにくいが、非常に冷静にエビデンスを踏まえて、共感という個人論になりがちな話を論理的に知られて勉強になった。 再読に値する本です。これを指針に参考文献を読んでいきたいです。2019/10/12