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辺境のダイナミズム

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  • サイズ B6判/ページ数 327,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000263252
  • NDC分類 230.4
  • Cコード C0322

内容説明

果敢に海にのりだし一大海上王国を築きあげたスカンディナヴィア三国。ローマとビザンツという東西二つの帝国のはざまにあって自己形成をとげていった東方の諸地域。イスラーム文明とのせめぎ合いと共存の舞台になったイベリア半島とシチリア。―文明が交錯し対峙する「辺境」の地域に生きた人々は、どんな歴史を展開させ、いかなる社会・文化を築いたのか。西欧はそこからどのようなインパクトを受けたのか。個性に富んだ歴史の諸相に光をあてる。

目次

文明と出会うとき―ある司教の生涯
第1部 北洋のヨーロッパ(北洋の政治秩序;北縁の社会空間;スカンディナヴィアのアイデンティティ)
第2部 東に開かれたヨーロッパ(二つの帝国のはざまで;「中間領域」の社会とその変貌;はるかな「ローマ」への視線)
第3部 イスラームと向き合うヨーロッパ(せめぎ合いの辺境;共存という社会的実験;摂取される知と文芸)
辺境とヨーロッパ

著者等紹介

小澤実[オザワミノル]
1973年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得。現在、名古屋大学大学院グローバルCOE研究員。研究テーマは、北欧を中心とする中世北ヨーロッパ世界構造論

薩摩秀登[サツマヒデト]
1959年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。現在、明治大学教授。博士(社会学)。研究テーマは、チェコを中心とする東欧の中・近世史

林邦夫[ハヤシクニオ]
1950年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得。現在、東京学芸大学教授。研究テーマは、多文化的世界としてのスペイン中近世社会(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

人生ゴルディアス

8
失礼な言い方なんだろうが確かになんとなく感覚として存在する「辺境」。北欧、東欧、南欧の歴史。シチリアが独立して扱われていたのがよき。あとブルガリア帝国の説明もよかった。名前だけ見かけたけどどんな存在がよくわからなかった。東欧諸国はキリスト教を受け入れるにしても、ビザンツかローマかで揺れ、その理由はいわばどちらの文明に属するかを決定するからである、とかなるほどなあと。レコンキスタも少しずつ自分の中で見えてきた気がする。フリードリヒ二世がなぜアラビア語ができたのかの理由も知れてよかった2022/08/27

サアベドラ

7
中世ヨーロッパ文明の「辺境」として北欧、ビザンツとロシアを除く東欧、南欧(ムスリム支配を経験したイベリア半島とシチリア島)の3地域を取り上げ、それぞれの歴史、社会、文化を概説する。北欧を気鋭の若手北欧史家である小澤実氏が執筆しているので手にとったが、ついでに読んだ東欧も結構楽しめた。東西両帝国に挟まれた「中間地帯」が徐々に「西欧の東端」に変質していく様が見事に描き出されている。南欧はそこそこ。概説色が濃くて少々退屈。でもムデハル(イベリア半島のキリスト教国内のムスリム)のまとまった知識を得られたのは収穫。2012/11/18

はる

4
素朴な疑問としてヨーロッパ人といわれる人々は自分たちのことをヨーロッパ人と思っているのだろうか?本書にみるヨーロッパ人世界は複雑で激しい交流の上に成り立っている。キリスト教世界と接した周縁部の一つスカンジナビア・アイスランドではラテン語アルファベットで物語る神々や烈王の伝承サガやキリスト教芸術技法の受容、狩猟採集の毛皮や魚介類が中央ヨーロッパの商業交易を賑わす豊かな周縁であった。バイキングの略奪とは一味も二味も違う世界。→ 2021/10/25

mob

4
中世の後半にはフランスにいいようにやられるキリスト教も、辺境への影響力という点では、南欧・東欧・北欧の中世史を一冊にまとめる程度には存在感を持つ。そして、南欧にイスラム教徒が技術を伝え、北欧でその役割を果たすのはドイツ人。キリスト教の閉じた性質がなければ、南欧も西欧もイスラムの辺境であり続けたかもしれないと思えてくる。ノルマン初期は良かった南欧も結局は……。こんな狭量な歴史を持つ連中が国民国家だのポリコレだのを都合よく使い分けて好き放題しているのだから、教養あるイスラム人は歴史を学ぶほど苛立ちそう。2021/08/11

MUNEKAZ

3
西欧から見た辺境ということで「北欧」「東欧」「南欧」の中世についての概説本。それぞれバラバラな内容になりそうだが、キリスト教の受容というところで一本筋が通っているのは面白い。ここで辺境とされているスウェーデンやオーストリア、スペインが、のちにヨーロッパの歴史を大きく動かす存在になると思うと、キリスト教を通した西欧の支配システムの導入がいかに大きなものだったかがよくわかる。2017/02/18

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