出版社内容情報
アジアの近現代をめぐる歴史認識問題が対立の火種となっているいま,一国史の硬い枠組みの克服を目指し,和解と協力を展望しうる新たな東アジア地域史の視座を提示した通史.上巻は19世紀から1930年代まで,「東アジアの近代」「日露戦争と韓国併合」「世界戦争と改造」「社会主義とナショナリズム」「新秩序の模索」から成る.
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感想・レビュー
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coolflat
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5頁。18世紀の東北アジアを鎖国の時代とする向きもあるが、清に限ってみた場合正しくない。清は確かに厳しい海禁を実施して、自由な交易を禁止し、朝貢ベースの交易のみを認めていたが、それは1683年に台湾を版図に組み込む以前のことである。以後は互市と言われる商業ベースの交易が内陸でも沿岸部でも行われていた。交易全体からみれば互市は朝貢よりも量的に多く、内陸よりも沿岸部での帆船交易欧米との交易が中心であった。清以外の国々、日本、朝鮮、琉球などは、強い海禁政策を採用して対外貿易を独占した。これは清とは大きく異なる。2022/12/19