岩波文庫
風車小屋だより (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 226p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003254219
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

フランス文学の華ともいうべきコントのうち,最大の傑作といわれ,作者が,鋭い観察による人生記録に,天成の詩的な風格と爽やかな諧謔とを交えて綴った短編集.作者の故郷,南フランスの丘に筆をとり,その地方特有の光と匂いと色とを捉えながら描き出す純情素朴な人々の哀愁は,しみじみと魂の奥底にふれる.一八六六年.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

78
ドーデが朽ちかけていた風車小屋を居とし、そこでの出来事や見聞したことを書き綴った物語たち。「居を構える」の自然描写は実際にその場にいるかのよう。「コルニーユ親方の秘密」は時代についていけない男の悲哀を描く。しかし、暴き立てた嘘を子供たちは周囲に吹聴したりはしない。絶望の間の淵で必死に爪先立っていた親方へ再び、粉を引かせようと計らう心意気も描かれるのだ。今となっては奇跡に近い優しい計らいにホロリとせざるを得ない。ビゼーの『ファランドール』で有名な『アルルの女』は戯曲版は読んだけど、原作は本当に短いのに驚いた2021/09/08

NAO

76
プロヴァンスの風車小屋からパリの友人へ送られた物語の数々。その中でも有名な「アルルの女」は、とても短い話なのだが、ドーデーはパリに戻ってからこれを戯曲に書き直し、ビゼーが曲をつけた。今では、ビゼーの曲の方で有名だ。『カルメン』といい、この「アルルの女」といい、南フランスには、純朴な青年の身を持ち崩させる奔放な女性が多いのだろうか。全体的には、近代化で衰退する粉屋、荒海で働く関税官など、生活に苦しむ人々の話が多く、それは、つまり、過去の暮らしへの哀惜でもあるのだろう。2020/07/24

みっぴー

54
『アルルの女』が目当てで手に取った一冊。一篇あたり五、六ページなど、とても短い作品が多かったです。打ち捨てられた風車小屋に居をかまえ、つらつらとプロヴァンスでの日常を描いた短篇集。訳がいきいきしていて、登場人物のセリフを思わず口にしてしまいそう。ほっこり、悲劇、喜劇、癒し系、色々なテイストが盛り込まれています。言語化出来ない心地よさ。頭で理解するより、「何となくいい感じ」を楽しむ本だと思いました。読めば必ず風車小屋で暮らしたくなるはず。でもよく考えたら、中からだと風車見えなくないですか?2017/09/27

燃えつきた棒

42
子供の頃読んだ一冊の本の挿絵がずっと記憶に残っている。 それは、講談社の「少年少女世界文学全集27-フランス編3」に挿入されていた。 たぶん、ドーデ「風車小屋だより『アルルの女』」の挿絵だったのではないかと思うが、馬あるいはロバの背に横座りに乗った女の挿絵である。 女の表情はあまり覚えていないが、長い髪を風になびかせていたのが忘れられない。 ネフローゼで休学していた小学校3〜4年生頃のことだが、それをいまだに覚えているというだけで、その絵が少年の心に与えたインパクトの大きさが分かるだろう。2020/08/27

金吾

30
南フランスの純朴な自然が伝わります。子供の時にはあまり楽しくないように感じた描写に、楽しさを感じるようになったのは感性が変わってきたのかと思いました。「星」「アルルの女」が良かったです。2022/05/07

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