岩波現代文庫
私はどうして私なのか―分析哲学による自我論入門

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  • サイズ 文庫判/ページ数 248p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006002084
  • NDC分類 114
  • Cコード C0110

内容説明

自分がいる、というのはいったいどういうことなのか?気鋭の哲学者・倫理学者である著者は、自己意識の生まれる過程、「私」という言葉の使われ方などから、分析哲学の手法によって丁寧にこの問題を解いていく。「私」とは、他から独立したピュアな存在ではなく、他者の呼びかけに答えられる「呼応可能性(=責任)」の主体としての存在なのだ!「あなた」がいて「私」がいる意味を鮮やかに検証する。

目次

1 自分がいる、ということ
2 他人との関わりと、自己意識
3 言語―ないものについての考え
4 「自称語」の意味と指示対象
5 指示対象の与えられ方
6 「私」という指標語
7 内的な自己…?
8 私は大庭健である、という事実の特別さ…?
9 意義(センス)と指示対象、そのスリかえ
10 「私が思うに」―聞き手へのコミットメント
終章 私の特権化=自閉を超えて

著者等紹介

大庭健[オオバタケシ]
1946年埼玉県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。専攻は倫理学、分析哲学。現在、専修大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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いろは

24
『私はどうして私なのか』タイトルからすると、『私』という自己や自我を徹底的に奥深く追求していく作品のように思うけど、読んでいて、『私』について、何かが理解できたり、何かが変わるということもなかった。人は誰でも『私』について思い悩み、苦しむと思うけれど、この作品を読むことによって救われるような、お薬のような感覚は、残念だけどなかった。しかし、解るより、考えるのが哲学だと改めて実感できた。私には、この作品を読みながら、『私』について考えるよりも、色々な文章のおいての、哲学的考察のところが面白くて勉強になった。2018/08/06

踊る猫

22
タイトルに示された難問に、平たくしかし本格的に著者は応答する。ともすれば自分の中だけで閉じてしまいそうな考察は、他者への応答可能性を説き倫理を語る方面に向かう。なかなかの読み応えあり。間違っても「私は比類なき存在なのだ!」と読んではならないだろう。比類なき存在が私でありあなたである。この奇跡。そうしたリベラリズムの方面に向かい政治的に語るところまでは至っていない。むろんこれはないものねだりなので、類著から学びたいと思った。入門書としても読めるし、すれっからしの読者をも唸らせるものであるとも思う。興味深い!2020/06/20

テツ

17
『私』という存在について。この世界で唯一無二の私という存在。私とそれ以外全ての他者との違い。私が感得し私が支配する私の世界とは別にどうやら世界はたくさんあるらしいという気づき。思春期の頃にみなが迷い込む『私』という掴み所がなく謎に満ちた存在についての考察。答えは与えられない。他人は僕の世界について何も知らないんだから。でもまたこうして思春期の頃の焦燥感に似た「私とは何なのか」という問いを思い出させてくれる。オッサンになればなるほど生きることには適しても感受性は削ぎ落とされていくんだなとうちのめされました。2018/11/15

かりあ

8
終わりに向かって、じわじわと難しくなる。だけど、著者の選ぶ言葉が易しいため、音を上げずに読みきることができた。哲学超初心者だから明確にわかるところはほんの少しだったのだけど、著者の考えは反デカルトだということはなんとなく察しました。再読したら、もうちょっと見えてくるかなー…2010/05/14

こずえ

2
デカルトの考えを否定する自我論。 なにかと永井均と比べられる。どちらが良い悪いかは主観なのでとりあえず永井氏の本と読み比べてみるとよい。 これに加えて鷲田氏などの境界論も読むと理解が深まるだろう

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