岩波現代文庫
光の領国 和辻哲郎

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 346,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006002442
  • NDC分類 121.6
  • Cコード C0110

内容説明

和辻哲郎(一八八九‐一九六〇)は明治以後の日本において最も包括的な哲学体系を築きあげた。そのテクストを日本政治思想史研究者が同時代の言説状況の文脈のなかで丁寧に読みなおし、“人間と政治”の問題を和辻がどのように考えてきたかを、その矛盾や欠落もふくめて検証する。付録として全集未収録の和辻の論考を併載。

目次

序章 「土下座」をめぐって
第1章 生命・人格・象徴(“光”の原風景;「煩悶」青年の精神世界―世紀末文化と演劇体験 ほか)
第2章 古代日本とデモクラシーの発見(古代日本との出会い;デモクラシーの再現―民本主義論 ほか)
第3章 倫理学と政治(倫理学体系の形成;和辻倫理学の構造 ほか)
終章 光と闇

著者等紹介

苅部直[カルベタダシ]
1965年東京生まれ。1994年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。東京大学教授(大学院法学政治学研究科・法学部)。日本政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

浅香山三郎

12
和辻については、熊野純彦さんの岩波新書も読んだけれども、内容を忘れてしまつてゐた。再読してみると、また複眼的にものが見へるやうになるだらう。和辻が、ある意味では時局に応じて真面目に取り組んだ結果、それが翼賛体制のイデオロギーのごく近いところに至るやうに見へるのも、興味深い。和辻の書いたものは、僅かしか読んで居ないが、フッサールやハイデガー等同時代の西欧の哲学を踏まへて読むといふ態度は、言はれてみれば当たり前だが、成る程と思つた。古代日本に日本らしい民族的性質の原形をみるといふ、大正デモクラシーの2018/01/14

politics

4
和辻哲郎の思想をその時代情況・思潮等との関連から検討した博士論文が基になっている一冊。古代ギリシア、そしてのちに「発見」する事になる古代日本への憧憬から〈光の領国〉を発見し思索を深めていき、最終的にハイデガーやマルクスらの読解を通して和辻倫理学を構想していくこととなる。そこから導かれた政治論は、同じく古代ギリシアへの憧憬を持つアレントとは異なり、「指導者」を中心に据えるものになったとの指摘は興味深い。また戦後の象徴天皇制度を、年来の〈光の領国〉の実現と見た点も、和辻の思想の一貫性を感じさせる。2021/05/17

Haruka Fukuhara

3
ろくに和辻を読まずにこちらを読むのも何だか不誠実な気がしてきて流し読みに留めた。古寺巡礼、風土という代表的著作以外知らなかったが、随分と広範に思索を深めた哲学者だということをこの本で初めて知った。国民道徳関連の話と随分早く結婚していること、ニーチェをめぐる論の展開に興味を持った。2017/02/15

ぽん教授(非実在系)

1
和辻哲郎の思想を時代順に分析し、変遷をたどりつつ人と政治における和辻倫理学の全体像との関連を「偉大なる豊かな光の異国としての古代ギリシア、それと同様に美しく素晴らしかった古代日本、その伝統を現在まで引き継ぐ日本」という形でまとめる。元の文章が20年前のものであるため、蓑田など和辻とその周辺以外の知識人についての著者の認識は最新の研究を反映できていないが和辻論としての議論の骨格と結論は変わらない。だいたい西田幾多郎とハイデッガー、和辻とアレントが似た立ち位置に来るので良い対比になっている。2015/05/23

霜月什緑

1
時代ごとに和辻の思想体系を追っていてその変化がわかりやすい。2013/06/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/1192036
  • ご注意事項