出版社内容情報
江戸の板本を通じて時代の手ざわりを実感するための基礎知識を、近世文学研究の泰斗がわかりやすく伝授する、和本リテラシー入門。
内容説明
書誌学とは時代の産物としての書物そのものから様々な「情報」を引き出すための技術である。近世文学研究の泰斗が、江戸の板本を手にとって理解するための基礎知識を、長年の経験をもとに、豊富な図版と用語解説をまじえて伝授する。和本リテラシーを育むための最良の入門書。「板本書誌学関係文献」一覧(鈴木俊幸作成)を収録。
目次
第1章 板本というものの性質
第2章 板式
第3章 書型
第4章 装訂
第5章 分類
第6章 板本の構成要素―書肆の受け持つ部分
第7章 板本の版面
第8章 本文の構成要素―著述内容に関わる部分
第9章 刊・印・修―板(版)・刷り(摺り)・補(訂)
付論 板株・求板
著者等紹介
中野三敏[ナカノミツトシ]
1935年福岡県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。専攻は江戸文学。九州大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きさらぎ
3
江戸時代の「ごく普通の出版物」=「板本」について解説した本。製本の仕方、「奥付」「題簽」といった本のつくり、「題字」「口絵」といった中身の構成要素、「初板と再板」や「原刻か改板」とその見分け方、板の補修についてや書店による板の売買、流通後の読者による書入や蔵書印まで、「物」としての板本に徹底的にこだわる。確かな文章力で語られる和本への愛情(愛着)と使命感に引き込まれ、読み終わった時には和本の手触りを味わってみたくてそわそわする。「板面に荒れが目立ち」というだけの文章から板面のささくれまでが見える気がした。2016/03/09
天使
0
作者が本を好きなのがよく伝わった2020/09/18