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岩波現代文庫
『断腸亭日乗』を読む

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  • サイズ 文庫判/ページ数 264p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006021511
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0195

内容説明

永井荷風(一八七九‐一九五九)は三十八歳から七十九歳の死の前日まで四十二年間にわたって日記『断腸亭日乗』を書き続けた。本書は『日乗』に「老人の性と生」という視点で自らの老いの心境を読み込みつつ迫る出色の荷風論である。荷風晩年に焦点を合わせ、戦災日記、荷風の女たち、社会を見る目、『〓(ぼく)東綺譚』について、著者独特の読みが展開される。

目次

まえがき 死ぬまでの性
1 老いの愉しみ(老いとの闘い;ある日荷風は浅草で)
2 『断腸亭日乗』を読む(荷風の戦災日記;荷風の女たち;社会を見た荷風の目;『〓(ぼく)東綺譚』について)
短編小説 「萬引」―あとがきに代えて

著者等紹介

新藤兼人[シンドウカネト]
1912年広島県佐伯郡石内村に生まれる。石内尋常高等小学校卒業後、村を出る。34年新興キネマの現像場が映画人生の始まり。50年に松竹大船撮影所から独立し、近代映画協会設立。映画化シナリオ二百四十本余り。監督作品は『愛妻物語』『原爆の子』『裸の島』『鬼婆』『ある映画監督の生涯』『〓(ぼく)東綺譚』『午後の遺言状』『ふくろう』『石内尋常高等小学校 花は散れども』等四十八本(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しんすけ

16
新藤兼人が映画『濹東奇譚』のシナリオを作成するにあたって読み進めた『断腸亭日乗』に解釈を加えた作品。 映画『濹東奇譚』が、小説『濹東奇譚』と重なるところが僅かな理由も、これを読むと解る。 新藤兼人は、雪という女を通じて荷風そのものを描きたかったに違いない。 荷風は20人近い女と肉体関係を結び、その誰とも後腐れない付き合いをしている。 荷風が金持ちだったからそれを可能にしたのだろうが、金だけで多くの女と後腐れなしの関係を結ぶことは難しいと思う。 荷風のどこかに女たちを引き付ける魅力があったのだろう。2021/08/08

浅香山三郎

14
作家永井荷風の日記を精読し、荷風の生き方や偏屈な信念のやうなものを読み込む。また、荷風を主人公に映画を撮つた監督として、荷風の玉ノ井通ひと『墨東綺譚』との連関性などから、荷風と創作の題材としての女、「老人と性」といふテーマにもふれる。 取材対象として初めから割りきられたやうな女性遍歴、世相への冷徹な眼等、『断腸亭日乗』の魅力を伝へるが、その背後には、著者の立場からの日記に向かふ視点の置き方の面白さがある。2019/05/06

A.T

9
永井荷風 38〜79歳までの日記「断腸亭日乗」の記事を「自身の戦災記録」「芸者、私娼、女給など女性関係」「戦時下の社会批判」の3つの大枠(このテーマ分けが新藤兼人らしい明快さです)に振り分けつつ、他の作品との関わりも深堀りして読み応えたっぷり。なぜ女たちとの交渉を文学の中心テーマに選んだのか、新藤兼人の洞察によると日記起稿より数年前の大逆事件に遡るというー。尊敬する作家ゾラがドレーフュス事件に抗議して国外追放となった事実と自身の無力を恥じた(随筆「花火」)のが大きな転機だと。2016/11/05

Iwata Kentaro

7
再読。新藤兼人が荷風を語るというとてもおもしろい構成。前回読んだときは映画を見ていなかったので、今回は映画鑑賞後で、読後の印象は大きく変わりました。2022/09/25

yokmin

6
進藤兼人「荷風の小説は、どれも、ああ、人の世は流れ、流れていくんだ、というような結末になっていると思うのです」     荷風の日記 昭和20年8月15日「・・今日正午ラヂオの放送、日米戦争突然停止せし由・・休戦の祝宴を張り・・」 ← このときから「敗戦」とは言っていなかったのか。2015/10/09

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