岩波現代文庫<br> ファンタジーと言葉

個数:

岩波現代文庫
ファンタジーと言葉

  • ウェブストアに5冊在庫がございます。(2024年05月09日 00時32分現在)
    通常、ご注文翌日~2日後に出荷されます。
  • 出荷予定日とご注意事項
    ※上記を必ずご確認ください

    【ご注意事項】 ※必ずお読みください
    ◆在庫数は刻々と変動しており、ご注文手続き中に減ることもございます。
    ◆在庫数以上の数量をご注文の場合には、超過した分はお取り寄せとなり日数がかかります。入手できないこともございます。
    ◆事情により出荷が遅れる場合がございます。
    ◆お届け日のご指定は承っておりません。
    ◆「帯」はお付けできない場合がございます。
    ◆画像の表紙や帯等は実物とは異なる場合があります。
    ◆特に表記のない限り特典はありません。
    ◆別冊解答などの付属品はお付けできない場合がございます。
  • ●店舗受取サービス(送料無料)もご利用いただけます。
    ご注文ステップ「お届け先情報設定」にてお受け取り店をご指定ください。尚、受取店舗限定の特典はお付けできません。詳細はこちら
  • サイズ 文庫判/ページ数 345p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006022600
  • NDC分類 934
  • Cコード C0198

出版社内容情報

『闇の左手』などのSFで数々の賞を受賞,〈ゲド戦記〉シリーズでファンタジーの分野でも飛躍的にファン層を広げたル=グウィンのエッセイ集.鋭い言語感覚とウィットに富んだ文章で,ファンタジーを紡ぐ想像力や言葉,さらに生い立ちや愛読書などについてみずからの体験を踏まえ,自由に語る.ファン必読の書.訳者による解題つき.

-


『ファンタジーと言葉』(原題:The Wave in the Mind: Talks and Essays on the Writer, the Reader, and the Imagination)は,『ゲド戦記』でもおなじみの作家アーシュラ・K.ル=グウィンの三番目のエッセイ集である.現代文庫からは,これに先立つエッセイ集『夜の言葉――ファンタジー・SF論』が刊行されている. ル=グウィンがSF・ファンタジー作家として出発したいきさつについては,こちらの本に詳しい.
 サブタイトルが示すように,このエッセイ集では,作家としてのル=グウィンが,言葉を紡ぐことについてどう考えているか,そして自らの想像力の糧となった少女時代の経験(インディアンという異文化との出会い,読書体験)などについて語っている.
 独特の象徴性に満ちたル=グウィン作品の背後には,こんなにも深い世界が広がっていたのかと今さらながら驚かせられる.とくにフィクションとノンフィクションを区別するべき,と語るル=グウィンの筆致は鋭い.「〈事実〉そして/あるいは/プラス〈フィクション〉」というエッセイの中に書かれていることは,現実のアメリカ文学界において賞の審査員として加わった経験からの批判的考察だが,「フィクションとは何か,作家の想像力とは何か」という根本的な問いを私たちにつきつけている.また,言語によるコミュニケーションについて,声によるパフォーマンスについて,フィクションの中によく見られる作家の抜きがたい偏見について,作家がしばしば陥るスランプについて,縦横無尽な考察が繰り広げられる.そのル=グウィンの自由でウィットに富んだ文章に私たちは魅せられるだろう.
 最後に,作家としてのル=グウィンが小説についてどう考えていたか,を示す文章を引用したい.これは原題Wave in the Mind (心のなかの波)の由来となったと思われる.ル=グウィンが生涯をかけた小説にたいする讃辞でもある.
 小説は美しい,とわたしは心底思う.わたしにとって,小説はどんな交響曲にも負けないほど美しく,海そのもののように美しいものでありうる.完全で,真実で,リアルで,大きく,複雑で,人を混乱させ,深遠で,心を騒がす一方で,魂を広く大きくする――海のように.打ち寄せては砕け,逆巻く波と,満ちては引く潮からなる海のように.
(「コレクター,韻を踏む者,ドラマー」より)
 現代文庫版の「訳者あとがき」には,エッセイの理解を深めるために訳者による丁寧な解題が入っている.また,巻末には邦訳で読めるル=グウィンの作品リストを付した.

目次
個人的なこと
自己紹介
インディアンのおじさん
わたしの愛した図書館

これまでに読んできたもの
幸福な家庭はみな
現実にはそこにはないもの
――『ファンタジーの本』とJ.L.ボルヘス――
子どもの読書・老人の読書
――マーク・トウェイン『アダムとイブの日記』――
内なる荒れ地
――「眠り姫」と「密猟者」,そしてシルヴィア・タウンゼンド・ウォーナーについての追記――

いま考えていること
〈事実〉そして/あるいは/プラス〈フィクション〉
遺伝決定論について
犬,猫,そしてダンサー
――美について考えたこと――
コレクター,韻を踏む者,ドラマー
語ることは耳傾けること
「終わりのない戦い」

作家として書くこと
作家と登場人物
自問されることのない思いこみ
わたしがいちばんよくきかれる質問
年をとって書かずにいること

訳注
訳者あとがき
アーシュラ・K・ル=グウィンのおもな邦訳作品リスト

著者略歴
アーシュラ・K.ル=グウィン (Ursula K. Le Guin)
1929年アメリカ合衆国バークリー生まれ.ラドクリフ・カレッジとコロンビア大学で,フランスおよびイタリアのルネッサンス期文学を専攻.作家.2014年度全米図書賞〈米文学への貢献〉賞受賞.著書にファンタジー『ゲド戦記』(全六巻),SF『闇の左手』『所有せざる人々』,エッセイ集『夜の言葉』『世界の果てでダンス』など.

青木由紀子(あおき ゆきこ)
1954年,東京生まれ.東京大学比較文学比較文化博士課程修了.訳書に,アーシュラ・K・ル=グウィン『ロカノンの世界』,マーガレット・マーヒー『足音がやってくる』など

内容説明

『ゲド戦記』シリーズの作者が、鋭い言語感覚とウィットに富んだ文章で、ファンタジーを紡ぐ想像力や言葉、さらに生い立ちや子どもの頃の思い出、愛読書などについて自由に、軽やかに語る。ル=グウィン文学の神髄がたっぷり詰まったエッセイ集。巻末におもな邦訳作品のリストを付す。

目次

個人的なこと(自己紹介;インディアンのおじさん;わたしの愛した図書館)
これまでに読んできたもの(幸福な家庭はみな;現実にそこにはないもの―『ファンタジーの本』とJ.L.ボルヘス;子どもの読書・老人の読書―マーク・トウェイン『アダムとイブの日記』;内なる荒れ地―「眠り姫」と「密猟者」、そしてシルヴィア・タウンゼンド・ウォーナーについての追記)
いま考えていること(“事実”そして/あるいは/プラス“フィクション”;遺伝決定論について;犬、猫、そしてダンサー―美について考えたこと;コレクター、韻を踏む者、ドラマー;語ることは耳傾けること;「終わりのない戦い

著者等紹介

ル=グウィン,アーシュラ・K.[ルグウィン,アーシュラK.] [Le Guin,Ursula K.]
1929年アメリカ合衆国バークリー生まれ。ラドクリフ大学とコロンビア大学で、フランス及びイタリアのルネッサンス期文学を専攻。作家。2014年度全米図書賞・米文学への貢献賞受賞

青木由紀子[アオキユキコ]
1954年、東京生まれ。東京大学比較文学比較文化博士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Die-Go

55
追悼ル=グウィン。図書館本。名高き『ゲド戦記』の著者ル=グウィンが、主に「言葉」について語るエッセイ・評論集。ル=グウィンのものを書くことに対する姿勢が存分に窺える。セクシャルなことに対しての言及もあり、ル=グウィンのジェンダーの視点がかいま見えるのも面白い。★★★☆☆2018/02/20

アムリタ

21
「エッセイの国には竜がいないから居心地が良くない」と言うル=グウィンのエッセイ!鋭い知性と、正直さという美徳。彼女は物語の「産婆」の役割を最後まで担い通した。 ファンタジーやSFを文学的に価値が低いとみなされることに対し痛烈に批判し、リアリズムとフィクションの違いは想像力であり、想像力こそが闇を変容、変貌させる竜なのだと言う。 読むことは物語を生きること。能動的で神秘的な行為であり、読者はそれを内的で私的な現実へと変換するのだと。 途中難解で読みにくいところもあっだけれど、後半ぐいぐいと読ませる。すごい。2021/04/24

はづき

20
ファンタジーが、物語が読みたくなる!! 理知的、理性的、倫理的と、感覚を語るときすら「理」が似合う文章でした。素敵な大人の女性。小学生のときに読んだゲド戦記の記憶はほとんどうすれてるけど、たしかにそんなメッセージこもっていたなとあらためて。ゲド戦記、読み返したいなぁ。2016/01/06

antoinette

16
原題はヴァージニア・ウルフが言葉より遥かに深いところにある創造のリズムを呼んだ「心のなかの波(The Wave in the Mind)」。「ファンタジーと言葉」では読者が限定される危惧があるし、しかも内容はファンタジーのことばかりでもないので、誰も得をしない改題ではないかなあ。――内容はただただ素晴らしいエッセイ集で安定のル=グイン節ハズレなし。何から感想を書けばいいのやらわからないくらいトピックは多岐に亘るが、個人的には、「眠り姫」の美しい解釈を示した「内なる荒地」が好き。(続く2017/02/04

roughfractus02

11
作品が書けなくなると、著者は登場人物の声を聞き、風景から言葉が掴めるようになるまで「待つ」のだという。人間が自らの想像力で作品を創造するのではなく、自然が形を与えてくれるまで待つという姿勢は、幼い頃人類学者の父母に聞かされた異文化との遭遇や実際に「インディアンのおじさん」との出会い以来続いているようだ。この姿勢が自然を対象と捉えて搾取し、目的を作って意識を祭り上げる男性中心の近代社会や、想像力を人間の脳=心に還元するリアリズム小説への批判となる。本書を読み終えると、シャーマンの声を聞いたような余韻が残る。2024/01/30

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9498514
  • ご注意事項

    ご注意
    リンク先のウェブサイトは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」のページで、紀伊國屋書店のウェブサイトではなく、紀伊國屋書店の管理下にはないものです。
    この告知で掲載しているウェブサイトのアドレスについては、当ページ作成時点のものです。ウェブサイトのアドレスについては廃止や変更されることがあります。
    最新のアドレスについては、お客様ご自身でご確認ください。
    リンク先のウェブサイトについては、「株式会社ブックウォーカー」にご確認ください。