出版社内容情報
制服は「管理」か?それとも「個性」――か? 1960~70年代の高校紛争で一部の高校が私服化された。その後、80年代のツッパリブームや90~2000年代のコギャルブームなどで、生徒は校則に反発し服装の自由を求める傾向があった。しかし、昨今では私服の高校が制服化したり、制服における適度に厳しい校則が学校の「売り」になったりするなど、むしろ自ら管理を求めている風潮さえみられる。これは保守化する日本社会の表れなのだろうか? それとも、多様化する制服そのものが「個性」なのだろうか? 時代とともに変わる「学校制服」の水脈を辿り、現代日本の姿を浮き彫りにする。
内容説明
「制服」は誰のものか?多くの証言と資料を通して、教育と若者文化の実相を描く。学校制服は時代を映し出す鏡だ。その歴史の水脈を辿り、学校制服に内在する文化や社会、政治、経済、科学に関連する「思想」を考察する、刮目の書!
目次
第1章 制服モデルチェンジの論理
第2章 制服誕生の舞台裏
第3章 制服自由、伝統校の矜持
第4章 制服復活で学校リニューアル
第5章 制服を作る側の戦略
第6章 制服の思想
著者等紹介
小林哲夫[コバヤシテツオ]
1960年、神奈川県生まれ。教育ジャーナリスト。教育、社会問題を総合誌などに執筆。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山猫
15
個性か管理か?それしかないのか?着方次第で個性の出せる制服もあるということを学校も著者も忘れているらしい。イラストや写真一枚でわかる各校の制服を縷々文で述べて、お茶を濁しているだけ。2021/01/20
どら猫さとっち
9
学校の制服は、憧れの対象であり、アイデンティティの象徴であり、コスプレの領域になっている。本書では、戦後教育で誕生した制服について、その歴史やリニューアルと変容を論じている。制服はなんのためにあるものか、本書でわかるのだが、今は学校を超えて、さまざまな形で捉えることが多い。解答者が制服を着るというクイズ番組もあった。教育も“見た目が9割”なのか、でもその論も当てはまらない。制服というのは不思議なものだ。2021/03/06
ジロリン
9
実はワタシ、制服マニアなんです…と言っても集めたりはしてませんw夏の高校野球でスタンドにいる生徒の、普段ではお目にかかれないユニークな制服を見て「へぇー、こんな制服あるんだ!」と面白がる程度。本書にも登場する嘉悦女子校が、エポック・メーキングな〈タータンチェックの制服〉に切り替わる前後の様子を、通勤途中に見てた。確かにあれはインパクトあったなぁ…で、制服人気で学校の偏差値が上がるとともに「制服は可愛くなったけど、偏差値上昇に反比例して中身(それを着る女の子)の方の可愛さは…」などと酷い事を考えたりして…2020/12/01
kenitirokikuti
8
クマノイ『図解 閉校中学校の女子制服』を借りた。そして、本書と『女子高生 制服路上観察』を思い出して再読した▲著者は教育ジャーナリスト。基本的な関心領域は学生の社会運動というテーマだ。やっぱし基本的に高校の制服制度の廃止って向きから離れがたいンだなァ…▲学生はともかく、生徒による社会運動、特に校内自治に関することって、実体は教師という地方公務員らになるから、いまいち語りづらい。あと、子どもを学校に通わせて教育を受けさせる義務がある、親。2023/05/16
kenitirokikuti
8
著者は神奈川県出身、1960年生まれの教育ジャーナリストである。著者の個人的な考えとしては、制服自由の方が進歩的であり、制服校としてコンプレックスを抱いていた、となむ。ぼくは制服あり伝統エリート校出身なので共感不可です▲後書きに森伸之の制服本、そして光文社新書『女子高生 制服路上観察』(キワものっぽいタイトルだが、学生服メーカーのひとが書いたもの)を参照したとあり、ほの内容はふまえている。でも、やっぱ関心が政治寄りなので、制帽や制靴、カバン、体操着などは捨象ぎみ、逆に非ファッション的側面の拾い上げはある2020/10/26