出版社内容情報
小説界をなぎ倒す嵐(テンペスト)襲来! ノンストップ王朝ロマン。
美と教養と見栄と意地が溢れる珊瑚礁の五百年王国は悩んでいた。少女まづるは憧れの王府を救おうと宦官と偽り行政官になって大活躍。しかし待ち受けていたのは島流しの刑だった――。見せ場満載、桁外れの面白さ!
内容説明
珊瑚礁王国の美少女・真鶴は性を偽り、宦官になる―。前人未踏のノンストップ人生劇場。
著者等紹介
池上永一[イケガミエイイチ]
1970年、沖縄県那覇市生まれ、のち石垣島へ。94年、早稲田大学在学中に「バガージマヌパナス」で、第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞する。98年『「風車祭(カジマヤー)」』が注目される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoshida
168
琉球王朝末期の物語。琉球の歴史や知られざる文化に触れることが出来ます。孫家では科試に合格し官吏となり、首里城で立身する事を目指していた。兄が科試に挫折し家を出る。妹の真鶴は孫寧温と名を変える。寧温は科試に合格し首里城に入る。琉球のため、様々な改革に挑む寧温。琉球独自の琉歌が響くなか、物語は進む。後宮での女官達の権勢争い。阿片の利権に群がる人々。清国の悪魔的な宦官との争い。話言葉や表現が稚拙な感じもありますが、分かりやすい内容とも言える。琉球の地政学的なプレゼンスは今も昔も変わらない。下巻が気になります。2017/07/02
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
49
吹き荒れる嵐の夜、父の期待を一身に受けて誕生した真鶴。しかし孫家から科試合格者を出すことを悲願としていた父からは、女児というだけで名前すらつけてもらえなかった。しかし・・。韓流ドラマが好きな人がハマりそうな話でした。自らの性を捨て宦官と偽り、寧温として生きる決意をした真鶴。仕事に夢中でいるうちは偽った性でも満足できたのかもしれない。けれど恋が彼女を変えてしまった。何だかんだと自らの性に翻弄される真鶴が本当に気の毒でした。御内原での女同士の争いが怖かったです。★★★★2011/08/08
こんぺいとう
38
琉球を舞台にした「蒼穹の昴」といった趣。知と美を追求する王府で、艱難辛苦にあえぎながら性を偽り宦官として生きる寧温。科試に合格するまでの道のりや、王府で繰り広げられる女の闘い。中盤までは面白かったのだが、徐丁垓が登場してからは雰囲気が変わってしまう。会話文の幼さも気になるし、あまりにもありえなさ過ぎて、前半良かっただけに残念。とりあえず下巻に進みます。2017/02/13
nyanco
32
歴史小説は苦手と敬遠気味でしたが、サクサク読めました。一気に次、行っちゃいます。2008/11/06
ちはや@灯れ松明の火
30
極彩色の琉球を護る龍には二つの首がある。有能な役人と傾城の佳人。熟れ過ぎた果実の放つ甘く爛れた腐臭は神話の時代の終焉を告げる。薩摩・清国・列強の豪雨が加速する時代の暴風を伴って外側から叩きつけ、国の中枢で二つ首の龍が巻き起こすは全てを洗い清めようとする自浄の嵐。朽ちた小舟のような島国が波に翻弄され何処へ流れ着くか、まだ誰も知らない。2009/08/07