出版社内容情報
執権・得宗から鎌倉幕府の権力の本質を探る伊豆の小土豪が源氏嫡流の姻戚となり、ついには武士の頂点に立つ。同輩武士団と血なまぐさい抗争を繰り返しながら自らの権力を確立した北条氏の歴史を活写する。
内容説明
北条氏はなぜ将軍にならなかったのか。なぜ鎌倉武士たちはあれほどに抗争を繰り返したのか。執権政治、得宗専制を成立せしめた論理と政治構造とは―。承久の乱を制し、執権への権力集中を成し遂げた義時と、蒙古侵略による危機の中、得宗による独裁体制を築いた時宗。この二人を軸にして、これまでになく明快に鎌倉幕府の政治史を見通す画期的論考。
目次
第１章 北条氏という家（伊豆時代の北条氏武士団；烏帽子親子関係に見る生き残り戦略）
第２章 江間小四郎義時の軌跡―伝説が意味するもの（北条氏庶家江間氏；鎌倉殿家子 ほか）
第３章 相模太郎時宗の自画像―内戦が意味するもの（奇怪な古文書―北条時輔の政治的位置１―嫡庶の順位 ほか）
第４章 辺境の独裁者―四人目の源氏将軍が意味するもの（鎌倉将軍の系譜；氏・姓・苗字 ほか）
第５章 カリスマ去って後
著者等紹介
細川重男［ホソカワシゲオ］
１９６２年、東京都に生まれる。東洋大学大学院文学研究科日本史学専攻修士課程修了、立正大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程満期退学。現在、國學院大學・東洋大学非常勤講師、日本史史料研究会企画部。博士（文学・立正大学）。専攻は日本中世政治史（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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鯖
22
再来年の大河「鎌倉殿の13人」で考証、細川先生がいいな～となってたので再読。「クソオヤジ！おれたちをだましてダチを殺させたな！」とか吾妻鏡等の意訳が細川先生節で入るので、笑ってまう。…既に義時はｵｸﾞﾘｯｼｭで、畠山重忠は中川大志の顔と声で浮かんでまう。承久の乱の敗北を朝廷方に認識させるため日本神話を利用し、将軍を弱体化させ新たな組織を造り上げた北条氏の歩み。族滅を繰り返し血を流し、試行錯誤と悪戦苦闘を繰り返し、武家最初の政権を担った鎌倉武士のみなさんホントお疲れ様でした…。2020/12/13
びっぐすとん
21
図書館本。大河ドラマに影響されて。今まで武士に興味がなく、教科書以上のことは知らなかった。初期の義時(小栗旬ね！)と後期の時宗をメインに鎌倉幕府の将軍や執権、得宗とはどんな立場なのかをフランクな文章で説明してくれて分かりやすい。わざわざ摂家や皇族から将軍を迎え、北条氏が自ら将軍にならないのはなぜなのか？の疑問へのアンサーにも頷けた。これは鎌倉幕府だけでなく、前の蘇我氏、藤原氏、後の室町幕府、信長や秀吉、江戸幕府にも言えるけど皇室を倒すという考えは皆無なのが日本独自だなと思った。二代目は地味になりがちだね。2022/02/11
サケ太
17
「いい歳をして、鎌倉武士はしょうがないなァ～」。意訳のハッチャケ&ぶっちゃけぶりが面白い。当時の京の人々に蔑まれた蛮人たちが、どのように幕府を作っていったのか。その立役者、北条得宗家とはなんだったのか。幕府初期を支えた義時、元寇に際し自らの権力を確立した時宗を中心に語られる武士たちの試行錯誤。様々な危機を乗り越えて、造り上げられた幕府。確かに一つの時代を生き抜いた。この時代の凄さと面白さを知ることの出来る一冊。2019/01/10
スプリント
12
なぜ北条氏は源氏から幕府を乗っ取らなかったのか。 永年の疑問の答えの一つがありました。 史料の現代語意訳が要所要所で入っていますがとても砕けた表現で面白かったです。2019/02/10
浅香山三郎
12
こちらも移動時間で読了。北条義時が最初から嫡子としての地位を約束された人物ではなかつたこと、得宗=徳崇の謎解き、義時を竹内宿禰に準へる言説への着目など、物凄く面白かつた。義時と時宗を読み解くことで､応神天皇と竹内宿禰の関係性を将軍と執権の関係の理想像とする意図を具体的に論じたのも興味深かつた。卑近な例示をしながら、論を展開する著者の芸当の上手さも本書の魅力｡2016/10/22
