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カルピスをつくった男 三島海雲

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  • サイズ B6判/ページ数 351p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784093897778
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0095

出版社内容情報

カルピス誕生100年!!

誰もが知る国民飲料。その産みの親を誰も知らない。
会社の売上げより国の豊かさ、そして日本人の幸せをひたすら願ったカルピス社創業者・三島海雲。筆者は同社OB、遺族のもとを訪ね、遂にはカルピス誕生の地モンゴルに飛んだ――。
近代日本を軽やかに駆け抜け、遊牧民の生活から夢の乳酸飲料を着想した男の生涯を辿る人物評伝。


国利民福は、企業は国家を富ませるだけでなく、国民を豊かに、そして幸せにしなければならないという三島が唱えた経営理念だ。経営者が当たり前に持つべき思想だと感じる。だが、いま、新自由主義がもたらした格差と分断が広がる社会で、社会や他者を顧みる余裕は奪われてしまったのではないか。自己を最優先しなければ、競争を生き抜けない。
だからこそ、国利民福を貫いた三島海雲を知ってほしいと思った。何よりも三島が辿った道は、私たちが生きるいまにつながっている。
――あとがきより

【朝日、読売、産経ほか各紙が書評で取りあげた話題書】



【編集担当からのおすすめ情報】
三島海雲は、1878年に貧乏寺の長男として生まれ、1902年、日本語教師として中国大陸に渡りました。その後、北京で雑貨を売買する行商会社を立ち上げ、モンゴル高原を行き来するようになります。ある日、遊牧民から乳製品を振る舞われ、未知なる味に心が躍ります。その感動は海を渡り、1919年、日本初の乳酸菌飲料カルピスが誕生することになります。

筆者は、近代日本を軽やかに駆け抜けた三島海雲の足跡を辿り、果ては、モンゴルの草原にまで足を運びました。驚くべきことに、そこで、百年前の旅人・三島海雲を語り継ぐ現地民とも出会いことになります。

本書は、優れた人物評伝であると同時に、日本人が忘れた「人」や「社会」を思いやる心をモンゴルにて再発見するルポルタージュとしても読めます。カルピス誕生100年の節目に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。








序章 カルピスが生まれた七月七日に


第一章 国家の運命とともに

一 仏像を焼き棄てた少年
貧乏寺に生まれて/「お寺のぼん」への反発/親鸞の言葉/
小学校中退/僧侶のエリート機関

二 学僧たちの青春
師との出会い/自然のような人間になれ/フランクさん/
大陸へ/大谷探検隊/青雲の志

三 日本語教育の名の下に
中国初の日本語教師/入学条件は二つだけ/
清国への恩返し/大陸浪人/母の死

四 山林王と蒙古王
日本の山林王/たった一度のウソ/新婦は小学校教師/
従軍布教使たち/蒙古で金鉱探し/二つのモンゴル


第二章 草原の国へ

五 死出の旅路
居庸関と古北口/若き冒険者たち/蒙古人の蒙古/蒙古王、再び/
長男の名のルーツ/王者の食物/元朝最後の皇帝/重々無尽

六 遊牧民という生き方
珍産物/一〇〇年前と変わらぬ製法/学問と旅の融合/
SNSを操る遊牧民/失われた風景

七 別れの日
一生のうちで一番ひどいこと/大隈重信の支援/
メリノの行方/陳情書/語り継がれる記憶/妻、倒れる


第三章 戦争と初恋

八 カルピス誕生と関東大震災
醍醐味合資会社/山本権兵衛、岩崎小彌太も/
与謝野晶子の一首/当初はカルピル/関東大震災

九 健康と広告の時代
娘の死/ヘソ焼き/二匹目のドジョウ/トレードマーク/
初恋の味/愛国詩人への手紙/ムッソリーニとも交流/
味の素に経営権を奪われる/酸っぱい時代/満洲カルピス設立

十 焦土からの再生
琴との再婚/少年社員/四〇〇人分のスイカ玉/銀座移転

十一 東京オリンピックを迎えて
緒方竹虎の書生/ソノシート/「冒険をしなさい」/
日本一主義/祖父の肖像/全財産を寄付


第四章 最期の仕事

十二 仏教聖典を未来に
オープンリールテープ/あと二〇年は働きたい/日本人のために



十三 父と子
女性も自立しなければ/逆らう長男/満洲からの引き揚げ/
日露戦争の思い出/「耳をかたむけよ!」/
天行健なり/最期の言葉


終章 一〇〇年後へ
カルピスの里帰り/タイムカプセル


あとがき


山川 徹[ヤマカワ トオル]
著・文・その他

内容説明

男の名は三島海雲。一八七八年に貧乏寺の長男として生まれ、一九〇二年、日本語教師として中国大陸に渡った。その後、北京で雑貨を売買する行商会社を立ち上げ、モンゴル高原を行き来する。ある日、遊牧民から乳製品を振る舞われた。未知なる味に心が躍る。その感動は海を渡り、一九一九年、日本初の乳酸菌飲料カルピスが誕生することになる。

目次

序章 カルピスが生まれた七月七日に
第1章 国家の運命とともに
第2章 草原の国へ
第3章 戦争と初恋
第4章 最期の仕事
終章 一〇〇年後へ

著者等紹介

山川徹[ヤマカワトオル]
ノンフィクションライター。1977年、山形県生まれ。東北学院大学法学部法律学科卒業後、國學院大學二部文学部史学科に編入。大学在学中からフリーライターとして活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mocha

114
カルピス100周年。貧しい寺に生まれて大陸に渡り、モンゴルで出会った乳酸菌をカルピスという形にして日本に根付かせた男・三島海雲。明治期の人間模様はダイナミックで興味深い。「初恋の味」という斬新なコピー、ヨーロッパの画家達を対象に公募した広告図案、商品でなく企業イメージの訴求など、とても冒険的で面白い。仏教徒として「国利民福」を全うした姿勢に圧倒されるが、最期の言葉はつらかった。資料が少ない中、著者は三島の縁故を訪ね、足跡を辿って綿密に取材しているが、少々散漫で読みづらいのが残念。2019/03/02

Willie the Wildcat

85
「覚行窮満」と「国利民福」が、氏の哲学。”水玉”やロゴの成り立ちなど、興味深いエピソードを読むと、世界名作劇場が脳裏に浮かぶ。振り返ると”初恋の味”って、わかるようなわからないような、これが狙いかな。一方、評伝とは言え、時勢背景などを取り除くと、主題に結びつく記述が全体の半分もないような気がする。加えて、カルピルからカルピスへの変更経緯や、78歳で社長復帰した背景が読み取れないなど、少々物足りない読後感は否めない。 2018/07/02

ゆかーん

66
カルピスと言えば、子供に優しい甘くて美味しい飲み物というイメージだけど、その制作には壮大なストーリーがあったことを知りました。三島海雲さんは、モンゴルの旅で出会ったジョウヒという乳酸菌を持ち帰り、研究していました。家庭を顧みず、研究や経営に没頭するストイックさが、カルピスをこの世に広める成功への道へとつながっていったんですね。モンゴルから中国、そして日本と乳酸菌のために各国を歩き回ったその努力は、彼にしか真似できない努力の賜物。今でも変わらず愛されているカルピスを、久しぶりに飲みたくなりました。2020/01/26

fwhd8325

61
「銀座カンカン娘」の歌詞にも使われているように、カルピスは国民飲料的な位置づけなのに、その生い立ちなどは全く知りませんでした。古くは商店街の食料品店にはカルピスの看板があり、私たちの生活に根付いた商品と言えるでしょう。誕生は、偶然ではなく必然だったと感じました。会社としては、問題はたくさんあったようです。それでもカルピスが100年を向ける今も健在なのは本当にうれしいことです。この夏も大活躍してくれました。冬もホットでおいしいカルピス。今まで以上に親しみを感じることになりました。2018/09/29

いちろく

56
モンゴルの乳製品をヒントにカルピスをつくった男について描かれたノンフィクション。巻末の多くの参考文献だけでなく著者自身が足を運び情報を集めた内容なのが、本当によく分かる。だからこそ、(前半から中盤にかけて特に)ノンフィクションよりも報告書の印象がした。主観性を極力控え、客観的に伝える事に徹した作品と捉えれば良いのかもしれないけれど、もう少し著者の主張があっても、、、と思ったのが本音。それでも、三島海雲という人物の掘り下げに徹したと受け取れば、その人柄が遺憾なく伝わる点でも、素敵な作品だと思う。 2018/09/15

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