内容説明
脚本家、エッセイスト、小説家として活躍する一方、暮らしを愉しむのが上手だった向田邦子さん。手軽でおいしい手料理、食いしん坊ならではの器えらび、終の住処での暮しぶり、行きつけの店、旅…そのライフスタイルには「自分らしく生きるとはどういうことか」を知るヒントがたくさん詰まっています。
目次
第1章 台所の匂い(さんどさんどの舌鼓;直伝の常備菜 ほか)
第2章 食いしん坊の器えらび(向田流の選び方;邦子好みの器づかい ほか)
第3章 お気に入りにかこまれて(邦子の部屋;向田画廊へようこそ ほか)
第4章 思い出さがし、想い出づくり(鹿児島・“故郷もどき”の海と桜島;人形町・小半日のゼイタク旅行 ほか)
第5章 その素顔と横顔(年譜・向田邦子が語る「向田邦子」;座談会(抄録)・素顔の向田邦子 ほか)
著者等紹介
向田邦子[ムコウダクニコ]
1929年東京生れ。「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」「あ・うん」ほか人気ドラマの脚本家として活躍後、1980年に短篇小説「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」で直木賞受賞。翌1981年8月に航空機事故で急逝
向田和子[ムコウダカズコ]
1938年東京生れ。向田邦子の末妹。1978年に姉邦子とともに東京赤坂に惣菜・酒の店「ままや」を出し、1998年まで続けた
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
YM
85
読友さんの感想に惹かれて。僕は職業病なのか、人と会うと容姿、ファッション、話し方なんかを見てしまう。別に良い悪いじゃなくて、なんとなくの趣味嗜好、性格を知りたいから。ジャンルは何であれ、一貫した自分の世界を持っている人には特に興味がある。今さらだけど最近、向田邦子さんが気になっている。本書はその向田さんのライフスタイルが紹介されている。想像通り料理は器から、ファッション、猫さんまで、ちゃんと理由をもって選んでいた。向田さんは作品も含め、庶民的に見えるけれど全く隙がない。2015/01/22
まーちゃん
38
肩肘張らないお惣菜が好きで、料理研究も怠らない。気に入った器はどんどん普段使いする。仕事着にはお出かけ着よりもとでをかけ、ほしいと思ったものは簡単に諦めず、何とかして手に入れようと努力する。 人気と実力を兼ね備えた脚本家で、直木賞作家だった向田さんは多忙さも並ならぬものだったにちがいない。 それでも忙しさを言い訳にせず、日々の暮らしの中でも自分の求めるものに向かってまっすぐに歩き続けた向田さんはとてもカッコいい。(→コメントへ)2013/08/21
がいむ
36
読んでいて気がついたけど、なんと、私も亡くなった時の向田さんに近い年齢になっていた!生きてきた中身が顔に出ているような、さっぱりとした感じのきれいな表情に改めて魅入られます。本は主にお料理のこと。レシピ、器、行きつけのお店、本(食いしん坊に贈る100冊)わたしの”おいしいものトレイ”も、「う」の抽斗、ってネーミングしよう♪ 2012/11/29
いちねんせい
34
こだわりの器やファッションやら、おいしそうな普段のお料理やらエッセイやら、とにかく盛りだくさんの一冊だった。終始肩の力が抜けていて格好いい。食いしん坊に贈る100冊を見ていたら、読みたい本がたくさん出てきた。しかし、まずは『父の詫び状』を読もう。2019/11/10
あじ
31
本質を見抜く眼力があってこそ"愉しみ"が得られる。向田さんから迸る、泉のような活力を感じました。研ぎ澄まされた感覚は万人には無い、稀有なものなんだろうか。美しく歳を重ねられていたお姿から想像。しかし向田さんは"何事も丁寧に愛でる行為"で、心も生活も潤沢に豊かになるのだと語りかけてきて下さったように思います。秘蔵の料理レシピ、器、ファッション…写真とともに辿ります。2013/11/17