内容説明
作家の劇的な生涯と作品創造の秘密を写真で実証するロングセラー・シリーズ。異国趣味とオブジェに満ちた黄金の魔境の真珠を含んで逝った、渋沢龍彦の全航海地図。
目次
評伝 渋沢龍彦(赤とんぼとからたちの時代;サド裁判の時代;「血と薔薇」の時代;オブジェから物語へ)
エッセイ 外出の渋沢龍彦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yn1951jp
39
種村は「血と薔薇」以降の澁澤を「オブジェから物語へ」として、極左・極右のイデオロギーを両極端に空間的ユートピアを夢見たかつての青年は、翁童の円環的時間構造のなかに…来るべきものと過去、彼岸と此岸が、境界線もおぼろにまじりあい、エキゾチックな夢が今ここの現実となり、この世は夢となり、精神はここかしこを自由に往来する『高丘親王航海記』へと至る。日影丈吉は「澁澤さんの書斎はいつか船になって漂いだすだろう」と予感していたという。2015/06/06
ぐうぐう
13
澁澤龍彦の生涯と作品を、写真と共に辿る『新潮日本文学アルバム』。種村季弘による評伝は、すでに知られているエピソードも多く綴られているが、友人であった種村の、澁澤に対する情愛も感じられ、とても味わい深い文章となっている。このシリーズは、多くの写真を掲載しているところが特徴で、この巻も様々な時代の、様々な表情を浮かべた澁澤を見ることができ、興味深い。(つづく)2013/09/15
hgstrm2
4
種村季弘の評伝が、単なる編年体に終わることなく、さまざまな人間関係のなかで極めて立体的に捉え、澁澤という人間がメタモルフォーシスしていくかのようにダイナミックに描いており見事。これはよく誤解されがちだが、決して彼は自分の世界の中に閉じ篭っていたのではなかった。写真も豊富で本人の交流範囲をうかがうことが出来、資料的価値も高い。2016/06/17
シラサギ
2
生い立ち、他の文学者との関わり、数々のエピソードなどが分かりやすく、かつ詳しく記してあります 澁澤龍彦のことをよく知らない人にもおすすめです 「高丘親王航海記」の原稿が見開きで大きく載っているページが好きです😉 何度も読みたい1冊2019/06/02
薄荷。
1
よく知られているエピソードも多いながら、写真が多く、興味深く読めた。端々に窺える、悪童っぽい表情が印象的。2015/06/22