死の所有―私刑・殺人・動物利用に向きあう哲学

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  • サイズ A5判/ページ数 377,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784130101196
  • NDC分類 114.2
  • Cコード C3010

内容説明

死刑、安楽死、脳死、殺人、戦争、動物利用―さまざまな倫理的問題に潜んでいる虚構とは?「人格」「権利」といった近代的な概念をとおして「死」のありようを問い直し、法的領域と人文的領域をとらえて、死生をめぐる実践的課題を哲学する和辻哲郎文化賞・中村元賞受賞作を経て、アクチュアルな問題に挑む渾身の一作。

目次

序章 「涙の哲学」に向けて―「死」の誕生
第1章 死刑不可能論―死刑存廃論に潜む倒錯
第2章 「死ぬ権利」の欺瞞―安楽死の陥穽
第3章 生命倫理と死ぬ主体―胎児、代理母、クローン、そして死にゆく人
第4章 殺人者の人格性―虚構なのか適応なのか
第5章 殺された人の非存在性―「害グラデーション説」の試み
第6章 戦争という法外な殺戮―戦争をめぐる事実と規範
第7章 動物たちの叫び―動物実験と肉食の彼方
終章 死に基づく認識論―生と死を貫く同一性

著者等紹介

一ノ瀬正樹[イチノセマサキ]
1957年茨城県土浦市に生まれる。1981年東京大学文学部卒業。1988年東京大学大学院人文科学研究科博士課程(哲学専攻)単位取得。東洋大学文学部専任講師、助教授、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部助教授、英国オックスフォード大学the 2010 Uehiro Lecturerなどを歴任。現在、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授、博士(文学)。著書に『人格知識論の生成―ジョン・ロックの瞬間』(東京大学出版会、1997年、第10回和辻哲郎文化賞・第6回中村元賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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テツ

21
生と死。ここにいるぼくの生と死。他者に与える死。そして奪われ無くなる生。人間(に限らず全ての生物か)は存在している限りありとあらゆる形で他者の生を奪わなければならない。どこまでが許されるのか。そもそも自分の生命を維持するために他者の生命を犠牲にすることは許されるのか。楽に生きるためなら?新薬の実験や皮や鱗の利用。生命維持とは直結しない、つまるところ楽に存在を保ちたいという理由で生命を犠牲にすることの是非は?生と死について考えると自然に、ぼくとぼく以外というテーマに行き着く。良い本でした。2019/10/28

coaf

8
ロックの人格概念を軸に様々な死の様相を論じた。そしてもうひとつの軸が人間は死を所有している、という思想である。一般には人間は生を所有していると考えられがちであるが、著者はそれを否定し、死を所有するという一見奇妙だが興味深い概念を提示している。人間にとって根源的な問題である死を、誰にでも分かるような平易な言葉で真摯に語った著者は、まさしく哲学者である。難解な言い回しや哲学用語を使いまくり、結局何を言っているのか分からないような学者が時々いるが、彼らはただの哲学学者である。2013/06/02

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