出版社内容情報
社会的コミュニケーションの基盤となる能力が生まれる場所――社会脳の謎に挑む最先端の研究の魅力をわかりやすく紹介する。
目次
1 「自己」の発見―自己像認知の進化と発達(動物の自己意識―異種感覚マッチングとしての出発;自己像を理解するチンパンジー―自己認知の進化 ほか)
2 「自己」と「他者」の境界―身体感覚のメカニズム(自己と他者を区別する脳のメカニズム;脳の中にある身体)
3 「他者」と出会う―動き・視線・意図の認知(動きに敏感な脳―バイオロジカルモーション知覚の発達;目はこころの窓―視線認知の比較認知発達 ほか)
4 「他者」の心を読む―共感のメカニズム・心の理論の発達(他人の損失は自分の損失?―共感の神経的基盤を探る;知識の呪縛からの解放―言語による意図理解の発達 ほか)
著者等紹介
開一夫[ヒラキカズオ]
東京大学大学院情報学環および総合文化研究科准教授
長谷川寿一[ハセガワトシカズ]
東京大学大学院総合文化研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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すー
7
最近流行りの「社会脳」研究の成果を包括的に紹介してます。<自己感>はどのように生じているか、ヒトはどのようにして他者を理解できるのかといった話題が中心ですね。神経科学や心理学における「他者理解」の話題に触れるときには、表情・視線・身体動作といった外部から直接知覚できる「他者」と、心的状態といった外部からは直接知覚できない「他者」、それらふたつの「他者」の区分を念頭に置いておくと話が理解しやすいです。2011/09/08
takao
3
☆共感など人類特有の機能を司る脳の部分を指す。人類の進化にかかわるものとされる。2022/11/01
nchiba
2
自己認識から他者認識、さらには他社の意図の認識に関して、実験結果による考察を概観したもの。ステップとしてはさらに集団などより高度な社会性の分野に広がっていくのがソーシャルブレインズ研究であるが、この本は初歩の3ステップまで。「心」の捉え方としては狭義ではあるが「心の理論」の考え方が勉強になった。心もより工学的に扱うことが可能になるかもしれないと思った。2010/09/18
ばにき
1
身体を通じて他者(自己)を知るという側面があるようで、社会脳でも身体が1つキーワードになりそうです。サルを使った研究も多くありました。2020/05/06
トリスタン
1
ソーシャルブレインという分野は、社会学と脳科学を結びつけようとする試みであるが、脳の神経細胞の分析から、人間の思考や行動にいたる道筋が明らかでないために、読んでいてかなり違和感が残る。チンパンジーや子供に対するテストや脳細胞の分析がいろいろと説明されるが、そこから示される結論には、まだ考慮に入れていない要素が多く残されているように思われるために、なかなか納得できない。社会学の知見からすると、ごく当然なことを、きわめて粗雑な実験によって、証明しているような印象を受けるのである。2020/02/06