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NHKブックス
漢文脈と近代日本―もう一つのことばの世界

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  • サイズ B6判/ページ数 235p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140910771
  • NDC分類 919.6
  • Cコード C1381

内容説明

漢文は、言文一致以降すたれてしまったのか、それとも日本文化の基盤として生き続けているのか?本書は漢文の文体にのみ着目した従来の議論を退け、思考様式や感覚を含めた知的世界の全体像を描き出す。学問と治世を志向する漢文特有の思考の型は、幕末の志士や近代知識人の自意識を育んだ。一方、文明開花の実用主義により漢文は機能的な訓読文に姿を変え、「政治=公」から切り離された「文学=私」を形成する。近代にドラスティックに再編された漢文脈を辿る意欲作。

目次

序章 漢文脈とは何か―文体と思考の二つの極
第1章 漢文の読み書きはなぜ広まったのか―『日本外史』と訓読の声
第2章 国民の文体はいかに成立したのか―文明開化と訓読文
第3章 文学の近代はいつ始まったのか―反政治としての恋愛
第4章 小説家は懐かしき異国で何を見たのか―艶情と革命の地
終章 漢文脈の地平―もう一つの日本語へ

著者等紹介

齋藤希史[サイトウマレシ]
1963年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程中退。奈良女子大学文学部助教授、国文学研究資料館助教授などを経て、東京大学大学院総合文化研究科助教授。専攻は中国古典文学、清末‐明治期の言語・文学・出版。著書に『漢文脈の近代‐清末=明治の文学圏』(名古屋大学出版会、サントリー学芸賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ハチアカデミー

6
江戸後期から近代、人物で言えば頼山陽から谷崎まで、日本語における漢文受容・使用の変遷を見渡せる。言葉を文のその物だけで論じるのではなく、その背後にある思想や思考形態を含めて論じている点が面白い。書記言語としての機能面と志(エートス)、士人と文人といった二項対立によって近代への流れが掴みやすく書かれている。鴎外、荷風、漱石、芥川らを扱う後半は近代文学における漢文学論として面白いし、谷崎の漢文使用法への指摘も鋭いが、それ以上に前半の漢文の「素養」を解明する論考に学ぶ物が多かった。『日本外史』は面白いらしい!2013/05/20

ちあき

3
言語表現の歴史を読みなおす本。思考や感覚を形づくる文体=システムとしての漢文、その世界観を組みかえることによって言語における近代が成立したのだとする。漢文の「公と私」「機能性と精神性」という二つの極をみすえながらすすめる考察が、非常におもしろかった。引用文はすいすい読み下せるレベルじゃないのもあるけれど、近代文学専攻だったり日本思想史の講義をとっちゃったりしてる学生さんは読んで損はない。ことあるごとに「漢文の素養」を口にする教養主義な人も、解毒剤としてぜひ読むべき。2009/04/17

虎哲

2
タイトルの通り漢文脈と近代日本について、様々な立場の考え方に配慮しつつも私のような素人にも分かる公私(士大夫と文人)や機能性と精神性、西洋と東洋などの二項対立で大胆に論じている。漢文や漢詩に限らず近代文学など複数の作品を引用しながらそれらがどのような意味が読み取れるか丁寧に説かれているのも有り難く、文学史的な漢文脈のとの距離も実感をもって理解できるようになっている。不勉強から存じ上げない作品も多く知的好奇心をくすぐられ、かつ勉強にもなった。私も漢文脈について知り考えることで現代日本語を相対化していきたい。2019/01/28

Masakiya

2
寛政異学の禁(1790)で朱子学を正統とするにより漢文の日本における標準的(=教科書的)な読み方が定まっていく。藩校による素読の普及と士族意識の形成。天下国家を論ずる文体。頼山陽「日本外史」の完成(1826)。漢文と訓読文(=文語、普通文、今体文)の分離。精神性としての漢文。実用性としての訓読文。メディア(新聞、雑誌「西国立志編(1870))による訓読文の普及。漢詩の中の文人的エトス(私)と士人的エトス(公)。「文学」という言葉に内在していた「文芸」と「学問」という2つの意味より後者が離脱。同時に文学(=2015/06/24

(ま)

1
漢文脈の再編2018/02/13

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