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アメリカの鳥

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  • サイズ B6判/ページ数 444,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309709567
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

出版社内容情報

大ベストセラー『グループ』著者の最高傑作、新訳決定版。ヨーロッパに渡った米国人青年が自身の内なる反米主義に悩んだり自分流の哲学につまずいたりしながら成長を遂げていく姿を描く。

内容説明

アメリカ人青年ピーターは、鳥や植物を愛す、ちょっと内気な19歳。パリ留学を前に母とふたり、ニューイングランドの小さな町を訪れる。4年前、母と暮らしたその地は、アメリカのよき伝統が残る、緑あふれる土地だった。しかし4年の間に自然は失われ、町はすっかり観光地化していた。母は怒り狂い、よきアメリカを取り戻すべくひとり闘う。そんな母と、アナキストだった父に育てられたピーターは、敬愛するカントの哲学に従い、「人を手段として利用してはならない」を行動原理として異国に旅立ってゆく。時代は北爆開始にはじまるベトナム戦争の拡大期。パリやローマで、ピーターは自身の反米主義に思い悩み、またイタリア系ユダヤ人を父にもつ自分のユダヤ性に常にこだわりながら、母国とヨーロッパの狭間で精神の成長を遂げてゆく。ベストセラー『グループ』をしのぐ名著、待望の新訳決定版。

著者等紹介

マッカーシー,メアリー[マッカーシー,メアリー][McCarthy,Mary]
1912‐1989。シアトル生まれ。6歳のとき大流行していたインフルエンザで両親を失い、弟3人とともに父方の親戚に引き取られ、知識欲を抑圧された悲惨な生活を送るが、5年後母方の祖父に救い出される。ヴァッサー大学を卒業と同時に結婚。「ニュー・リパブリック」「パーティザン・レヴュー」などに寄稿し、辛口の批評家として知られるようになる。また二度目の結婚相手だった高名な文芸評論家エドマンド・ウィルソンの勧めで小説を書きはじめ、『グループ』や『アメリカの鳥』で作家としての名声を確立する

中野恵津子[ナカノエツコ]
1944年生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

170
世界文学全集完読プロジェクト https://bookmeter.com/users/512174/bookcases/11684481?sort=book_count&order=desc 第十六弾Ⅱ-04、夏休みで図書館の配本が停滞しているため、プロジェクトを再開しました。時代背景もあるでしょうが、池澤夏樹が傑作という程の作品だとは思いませんでした。 続いてⅡ-05へ。 https://www.kawade.co.jp/np/special/3677774465/2021/08/20

たま

37
アメリカの青年(ピーター・リーヴァイ)のフランス滞在記(1965年)。同胞を見る眼、浮浪者はじめフランスの抱える問題など、私個人の体験を思い出すことも多く、面白かった。アメリカ人家庭の感謝祭に招かれ、ベトナム戦争の議論でピーターが孤立する場面は同情することしきり。半世紀を経た今でも、ピーターの異文化経験は興味深いと思うし、ピーターの考え方(カントの道徳律を基本とする)を知ることも価値があるだろう。カントと言えば大げさに聞こえるが、教育を受けた欧米人にとって一般的な考え方だと思うので。→2022/02/25

秋良

14
マザコンで頭でっかちの青年の魂の遍歴と、古き良きアメリカの変遷。自分の国って良い所も悪い所も見えて、100%好きにはなれないし100%嫌いにもなれない厄介なもの。ピーター頑張れって感じ。彼の理想の生き方を追求する姿勢はやや偏っていて、それを端的に表しているのが童貞というところ。するかしないか、決めるのは彼だけではなくて選択権は相手にもあるというのが抜けているし、全人格的なものでなければならない、という決まりは相手には関係ない。ここはちょっと尻ぶっ叩きたくなる。2019/07/28

ネムル

13
自分の19歳も遠くなってしまったわけだが、19歳のアメリカ人ピーター・リーヴァイの冒険譚を沁みるように読んだ。仏伊グランドツアーを通して他の文化に触れ、ベトナム戦争の報道を聞き、自分の国が嫌になるというのも他人事じゃないし、いま同様に感じる人も少なくないと思う。ピーターの敬愛するカントの定言命法にしても、社会の激動の前には、特に戦争のような国家が我が物顔で暴力を行使する事態には脆弱だ。なっちゃん全集の他の作品にあるような頭でっかちさが本作にもあるが、やっぱり己の哲学修正に苦闘するピーターの多感さは沁みる。2018/04/07

ゆき

13
アメリカに対する批評とか色々な切り口があると思うのですが、一番良かったのは教養小説の一面。主人公に十九歳の自分を重ねたくなるし、同じ目線で読み進めて懐かしくて切ない思いになりました。あのころの大人の世界に入りかけて入口で戸惑う感じ、じれったくもどかしい気持ち。思いはあるが行動に踏み出せない。いざ行動すると空回りだったり。そうやってあちこち不器用にぶつかって生傷をつくりながら大人になっていく様子が丁寧に綴られていて、読んでいる間、親しい眼差しをピーターにずっと向けてました。2009/09/30

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