内容説明
孤立する人は誰なのか。かつてない程の高まりを見せている連帯への不安。私たちのつながりに何が起きているのかを実証的に読み解く。
目次
第1部 日本社会の人間関係(「無縁社会」が見せたもの、見せなかったもの;日本社会における中間集団の変容)
第2部 孤立に潜む諸問題(誰にも頼れない人たち;家族に頼れないのはどのような人たちか;なぜ男性が孤立しやすいのか;地方山村の人間関係と孤立)
これからの連帯のゆくえ
あとがき―やや正直に語る
著者等紹介
石田光規[イシダミツノリ]
1973年生まれ。2007年東京都立大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士課程単位取得退学(社会学博士)。現在、大妻女子大学人間関係学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
72
「無縁社会」は、家族(血縁)、会社(社縁)、地域(地縁)と密接に結びついている。この「無縁社会」を読み解く鍵が、社会的排除と親密圏。すなわち、家族などの人間関係からの排除、非正規などの不安定雇用による労働市場からの排除、住宅及び地域からの排除とそこにみられる親密圏の変容である。無縁社会は、社会的なシステムの不備に還元ざれるべき問題でありながら、個人の人間関係に焦点化され、「自分もいつかは孤立死するかもしれないな」という漠然とした不安を抱かせる。確かにこの3つの縁は、絶対的でもなくおおいに揺らいでいる。自身2016/02/02
きいち
34
調査分析で判明した男性・高齢・低収入・低学歴、の孤立しやすさ。収入・学歴が家族を形成し家族からのサポートを得る条件となっているという身も蓋もない事実。そして「男性」がケアを調達するためには女性と関係を結ばないといけない、という現在の社会条件。ここで、高齢男性の孤立をそれまでのその人のケアする努力の不足(いや確かにそうかもだけど)とした上野千鶴子に、「それはあなたが指弾してる自己責任論そのものじゃないか」と喧嘩を売る!自分も無縁のリスクが高いことを告白する赤裸々なあとがきと相まって、とても切実感ある学術書。2015/12/14
ステビア
25
「『自由は謳歌したい、しかし放っておかれるのは嫌』という都合の良い考え方は改めなければなるまい。」…ほんとその通りすぎる…自由には時に孤独も伴うってことだよね…2022/03/03
sk
8
無縁社会を社会的排除の文脈で読み直し、それに対する処方箋を示す。興味深い論考だった。2018/11/20
ぽん教授(非実在系)
6
KKO問題にも光を当ててフェミニズムの身勝手ぶりにも疑問を突き付ける内容を2011年に書いているのだから著者はなかなかに(無論良い意味で)チャレンジャーである。しがらみから解放されたいけど、しがらみを失うとセーフティーネットがなくなり見捨てられるというご都合主義的な心情が現代日本人にはびこっていることが昨今の無煙社会の原因であり、自由を諦めしがらみを復活させてはどうかと著者は提案し、同感であるが、具体的にどうすればよいかは著者も悩んでいることであろう。今後の課題である。2018/03/30